化学部門
化学は「物質」を探求する学問で、分子や材料の創出や、それらの構造・性質・機能・反応性の研究を含みます。そして、化学の対象は実に様々です。宇宙や地球上に存在する物質、さらには我々自身を構築する物質も対象となります。このような、化学の扱う対象の広がりを反映して、化学部門では14の基幹研究室が、化学の主要分野(物理化学、無機分析化学、有機化学、生化学)と物理や生命科学の学際的分野をカバーしています。さらに、触媒化学研究センター、電子科学研究所、遺伝子病制御研究所に所属する7つの研究室、つくばの物質・材料研究機構の4つの研究室が協力研究室として加わり、研究分野に広がりを与えています。
化学部門は学部学生のためのすぐれた教育プログラムを1930年から開始し、1953年からは大学院学生向けの教育プログラムも始めました。2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章名誉教授は化学部門の学生として研究をおこない1960年に理学博士を授与されています。また、宇宙飛行士の毛利衛博士は1970年の化学部門卒業生です。他にも多くの卒業生が世界中の最先端研究の場で活躍しています。2010年には、新たな時代のニーズに柔軟に対応した学際的な化学研究の機会を学生に与えるために、総合化学院が設立されました。この学院では化学部門のすべての教員が工学研究院の化学系教員と共に大学院生の教育に一丸となって取り組んでいます。そして、化学部門は人間社会に貢献するための研究プログラムも活発におこなっています。
研究者一覧
物理化学分野
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石森 浩一郎教授ISHIMORI Koichiro生体金属と金属蛋白質が織りなす生命現象を分子化学で読み解く研究テーマ
分子構造に基づく生体金属および金属蛋白質の構造および機能的解析とその分子設計
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前田 理教授MAEDA Satoshi化学反応の経路をコンピュータで予測する研究テーマ
反応経路自動探索法の開発と様々な化学現象への応用
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村越 敬教授MURAKOSHI Kei形がかわれば機能も変わるナノ物質の世界研究テーマ
固液界面における物質・エネルギー変換
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佐田 和己教授SADA Kazuki分子情報操作が生み出す新機能材料を創る!研究テーマ
・親油性電解質を用いたソフトマテリアルの開発
・クリックケミストリーを利用したMetal-Organic Frameworks (MOFs)の事後修飾
・有機結晶の異方的表面を利用した複合材料の開発
・生体分子ロボットの創製
・Metal-Organic Frameworksを鋳型にした高分子ゲルの合成と機能
・高分子溶液でのLCST型相転移の分子デザイン
・分子機械としての凝集誘起発光の制御
・分子モーターを利用した動的自己組織化 -
武次 徹也教授TAKETSUGU Tetsuya化学反応の素過程を理論と計算で解き明かす研究テーマ
第一原理計算に基づく反応ダイナミクス計算手法の開発と光化学・触媒科学への展開
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原田 潤准教授HARADA Jun柔らかい分子性結晶を利用して高性能機能材料を開発する研究テーマ
高温で柔粘性結晶となり室温で強誘電性結晶となる柔粘性/強誘電性結晶による,現在主流の含鉛強誘電体を代替・補完可能な,安全で高性能な機能材料の開発
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小林 厚志准教授KOBAYASHI Atsushi無機と有機のハイブリッドで未来を拓く研究テーマ
クリーン水素社会に貢献する人工光合成デバイスの創出
目に見えないものを可視化するスマート分子センサーの開発 -
小林 正人准教授KOBAYASHI Masato計算化学とデータ科学で分子と反応を詳らかにする研究テーマ
大規模分子の高精度電子状態計算法の開発とデータ科学を用いた反応解析・予測
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三浦 篤志准教授MIURA Atsushi光を局所摂動に用いた次世代分析法研究テーマ
光を局所摂動として利用した反応・計測場としての微小空間の構築、微小空間において誘起される新規な物理・化学現象の探索・解明、これらを利用した新規高感度次世代分析法の開拓・応用
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内田 毅准教授UCHIDA Takeshi病原菌のメタルバイオロジー研究テーマ
病原菌のヘム及び鉄獲得とその利用に関する研究
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福島 知宏講師FUKUSHIMA Tomohiro分子と場に着目した機能化学への展開研究テーマ
界面における分子性と場の効果に着目した機能創出
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板谷 昌輝助教ITATANI Masaki界面化学と非線形・非平衡化学の融合による機能性化学の新展開研究テーマ
場と物質のエネルギー混成状態がもたらす電子移動反応への影響解明とその応用性の探索
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岩佐 豪助教IWASA Takeshi光と分子の相互作用と化学反応研究テーマ
ナノ領域の光学応答・励起状態・化学反応
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景山 義之助教KAGEYAMA Yoshiyuki化学は、もっともっと面白くなる。研究テーマ
旧来の一個の分子の形や機能を追究する化学から離れて、個性ある種々の分子が集まった環境での分子の振る舞いを追究する化学を研究対象にしています。生命現象のようなダイナミックな現象が、そこから産まれます。
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松岡 慶太郎助教MATSUOKA Keitaro機能性材料と有機合成化学の融合研究テーマ
機能性材料を利用した新規分子変換手法の開発、および有機合成を基盤とした機能性材料の創出
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松岡 和助教MATSUOKA Wataru計算化学に基づく新たな触媒の設計研究テーマ
バーチャル配位子法の開発を遷移金属触媒反応開発への応用
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堤 拓朗助教TSUTSUMI Takuro溶液ダイナミクスの分子論的理解研究テーマ
次元縮約法を利用した化学反応解析理論の開発と溶液ダイナミクス解析への展開
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アンドレイ リャリン特任准教授Andrey LYALIN
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齊田 謙一郎特任助教SAITA Kenichiro光化学反応の「見える化」で新奇材料設計を目指す研究テーマ
量子化学計算に基づく光化学反応の反応経路・動力学シミュレーション
無機・分析化学分野
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松井 雅樹教授MATSUI Masaki新材料で蓄電池を革新する研究テーマ
次世代蓄電池の実現に向けた、新規固体イオニクス材料の創製とその電気化学反応機構の解析
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髙橋 啓介教授TAKAHASHI Keisukeデータ科学から材料・触媒を設計研究テーマ
実験・計算・データ科学を統合したマテリアルズインフォマティクスによる材料・触媒設計
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上野 貢生教授UENO Koseiナノ構造の光物性と最先端計測化学研究研究テーマ
金属や2次元材料のナノ構造の光物性を解明し、その物性を利用した新しい化学計測法の開拓
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小林 弘明准教授KOBAYASHI Hiroaki次世代蓄電池を創る研究テーマ
準安定・多孔質ナノ・界面イオニクスの開拓
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龍﨑 奏准教授RYUZAKI Souナノ空間の光を用いた1粒子/1分子解析技術の構築研究テーマ
ナノ構造体における光物性の理解および新規分析化学技術への展開
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今枝 佳祐助教IMAEDA Keisukeナノ物質の光特性を顕微分光で明らかにする研究テーマ
レーザー分光計測手法を開発し,ナノ物質の光特性を解明する
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諸角 達也助教MOROZUMI Tatuya
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奈須 滉助教NASU Akira非平衡状態・準安定状態を利用した新機能材料の創製研究テーマ
・ナトリウム電池の実現に向けた新奇な材料合成
・電池内部に形成されるヘテロ界面で生じる反応の解析 -
髙橋 ローレン助教TAKAHASHI Laurenオントロジー、グラフ理論、インフォマティクスの実装による化学データから知識への変換研究テーマ
セマンティクスに基づく化学・材料データの設計により、マシンアクセシビリティを向上させ、データから知識の抽出と材料設計を実践
有機・生命化学分野
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阿部 一啓教授ABE Kazuhiro生命を担う生体分子のはたらきを化学的に理解し、操り、創り出す研究テーマ
能動輸送体をはじめとした膜輸送体の作動機構解明
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永木 愛一郎教授NAGAKI Aiichiro生体分子を凌駕する分子創生を高速有機化学の力で研究テーマ
フローマイクロリアクター研究が導く高速有機化学の学理構築。高速有機化学が導く究極の機能分子の高速創生。酵素の力を最大限に活用した複雑骨格分子の創製。
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坂口 和靖教授SAKAGUCHI Kazuyasu生命原理を解明し、応用する研究テーマ
『癌抑制タンパク質p53の多量体形成・翻訳後修飾を介した機能制御と進化』
『脱リン酸化酵素PPMファミリーによる生命現象の制御機構の解明』
『自己組織化生命分子を構造制御素子としたナノマテリアルの創成』 -
澤村 正也教授SAWAMURA Masaya新しい有機化学の探求と知の創造研究テーマ
有機合成触媒の分子デザイン、新化学反応の開発、触媒的不斉合成法の開発、触媒反応機構の理論的解明
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鈴木 孝紀教授SUZUKI Takanori北大から有機化学の世界一を研究テーマ
動的酸化還元系に関する研究:記録的高歪化合物創出と単一分子メモリ開発
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谷野 圭持教授TANINO Keiji複雑な有機分子を自在に合成する研究テーマ
複雑な分子構造を有する有機化合物の精密合成に役立つ変換反応の開発
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石垣 侑祐准教授ISHIGAKI Yusuke独自の分子設計で化学の基礎を築き上げる研究テーマ
酸化還元活性な高歪化合物を構築し新たな機能を創出する
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鎌田 瑠泉准教授KAMADA Rui自然免疫の制御機構を明らかにする研究テーマ
自然免疫細胞の分化・成熟におけるSer/ThrホスファターゼPPM1Dの機能解明
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岡本 和紘准教授OKAMOTO Kazuhiro多種多様な金属触媒を理論と実験の両面から解明し、新たな設計指針を構築する研究テーマ
多種多様な遷移金属触媒、特に均一系錯体触媒を基盤として触媒活性向上・選択性制御に取り組む。触媒が持つ多様な反応経路、複雑多岐にわたる素反応過程に対する理論・実験の両面からの解明を目指す。
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清水 洋平准教授SHIMIZU Yohei分子を自在に操る触媒開発研究テーマ
触媒開発を基軸とする化学選択的反応の開発
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鈴木 孝洋准教授SUZUKI Takahiro前人未踏の複雑な分子の合成に挑む研究テーマ
複雑な化学構造を有する生物活性天然有機化合物の全合成研究
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増田 侑亮助教MASUDA Yusuke分子変換に新たな光を研究テーマ
光エネルギーを利用した革新的分子変換手法の開発
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宮岸 拓路助教MIYAGISHI V Hiromichi超分子の動きをデザインする研究テーマ
機能性インターロック化合物の開発
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中川 夏美助教NAKAGAWA Natsumi多量体形成タンパク質の相互作用と機能調節を解明する研究テーマ
多量体形成タンパク質の翻訳後修飾・安定性・機能制御機構および進化に関する研究
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瀧野 純矢助教TAKINO Junya複雑な天然化合物を合成する研究テーマ
化学反応と酵素反応を駆使した天然有機化合物の合成
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髙橋 正行特任教授TAKAHASHI Masayuki細胞の形を制御する仕組みを探る研究テーマ
細胞内収縮装置を介した細胞形態の変化と維持の分子機構の解明
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高畑 信也特任講師TAKAHATA Shinyaクロマチン構造が制御する遺伝子発現研究テーマ
クロマチンの構造決定機構の解明と遺伝子発現メカニズムの理解
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芦刈 洋祐特任助教ASHIKARI Yosuke有機活性種の性質を解明し自在に操る研究テーマ
フローマイクロ合成の精密性を活用した有機活性種の性質解明および合成研究。