| 研究テーマ | 金属・半導体ナノ構造における光と物質の相互作用の解明と、電子・振動ダイナミクスを利用した化学反応・過程の制御 |
| 研究分野 | 光化学, 分析化学, 光物性, 近接場光学, 超高速分光 |
| キーワード | 光化学, プラズモニクス, 二次元ナノ材料, ナノ加工, サブピコ秒・マイクロ秒過渡吸収分光, フェムト秒干渉型ポンプ・プローブ測定, 顕微分光 |
研究紹介
化学反応を制御する代表的な方法の一つは、触媒などを用いて反応の活性化エネルギーを変化させ、反応速度や選択性を制御することです。これに対して我々は、化学反応を構成する電子励起、分子振動、電荷・エネルギー移動、スピン変換などのさまざまな素過程に着目し、それぞれの速度や経路を光やナノ構造によって制御することで、化学反応そのものを制御する新しい化学の開拓を目指しています。
そのために、金属・半導体ナノ構造が形成する可視・赤外領域のプラズモンや光学モードと、分子、半導体、二次元材料との相互作用を利用しています。例えば、可視光領域のPurcell効果によって電子励起状態の緩和速度を制御し、光化学反応の経路や効率を変化させる研究を進めています。また、半導体ナノ粒子が形成する赤外プラズモンと分子振動との相互作用を利用した赤外Purcell効果によって振動緩和速度を制御し、その変化を有機合成反応や官能基選択的な化学反応の制御へとつなげる研究にも取り組んでいます。さらに、半導体ヘテロバイレイヤーでは、原子層間距離やプラズモンとの相互作用によって電荷移動速度を制御し、電子移動を伴う化学過程の操作を進めています。
スピンが関与する化学過程についても、その速度や遷移確率を制御する新しい方法を開拓しています。スピン軌道相互作用を増強することによる一重項から三重項への項間交差速度の制御に加え、通常の光電場では禁制となる一重項―三重項間の直接光遷移を、光磁場との相互作用による磁気双極子遷移として誘起・制御する研究を進めています。
このように、反応物や触媒の化学構造を変えるだけではなく、電子励起、分子振動、電荷・エネルギー移動、スピン変換など、化学反応を構成する素過程の速度や遷移確率を外部から制御することで、反応速度、反応経路、生成物選択性を変化させることが我々の研究の中心です。そのために、ナノ構造の精密作製とフェムト秒時間分解分光をはじめとする各種分光計測を組み合わせ、反応制御の機構を分子・電子レベルで明らかにしています。
代表的な研究業績
S.-C. Yeh, W.-Y. Ko, H. Takeuchi, K. Imaeda, C.-Y. Yang, K. Ueno, K.-J. Lin, Commun. Mater., doi: 10.1038/s43246-026-01314-7.
K. Imaeda, Y. Takahashi, S. Ushikoshi, T. Endo, Y. Miyata, K. Nagashio, S. Ryuzaki, K. Ueno, J. Phys. Chem. Lett., 2026, 17, 1670-1676.
H. Takeuchi, X. Qian, X.-T. Pan, K. Imaeda, S. Ryuzaki, K. Ueno, J. Phys. Chem. C, 2025, 129, 21704-21714.
H. Takeuchi, K. Imaeda, S. Ryuzaki, K. Ueno, J. Phys. Chem. C, 2024, 128, 2567-2576.
X. Shi, K. Ueno, T. Oshikiri, Q. Sun, K. Sasaki, H. Misawa, Nat. Nanotechnol., 2018, 13, 953-958.
関連産業分野
| 学位 | 博士(理学) |
| 自己紹介 | さいたま市出身です。光と分子/物質系との相互作用の増強や電子状態や振動状態の超高速ダイナミクスを変調するナノ構造について研究して来ました。趣味は、ギター、ゴルフなどのスポーツやその観戦です。 |
| 学歴・職歴 | 1999年 北海道大学理学部化学科 卒業 2001年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻 博士前期課程修了 2001年 日本学術振興会特別研究員(DC1) 2004年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻 博士後期課程修了 2004年 日本学術振興会特別研究員(PD) 2006年 北海道大学電子科学研究所助手 2007年 北海道大学電子科学研究所助教 2007年 JSTさきがけ研究員兼任(6年半) 2008年 北海道大学電子科学研究所特任准教授 2009年 北海道大学電子科学研究所准教授 2012年 分子科学研究所客員准教授兼任(2年) 2019年- 現職 |
| 所属学会 | 日本化学会, 日本分析化学会, 光化学協会, 応用物理学会 |
| 居室 | 理学部6号館 6-7-05室 |



