物理学部門
物理学は、自然界のすべてのものが従う普遍的な法則や原理を追求する学問です。20世紀初めに構築された量子論の発見以来、現代物理学は科学技術に対して計り知れないほど大きな影響を及ぼしています。物理学を学ぶことは、すべての科学技術を根本から理解することにつながり、どのような科学技術の変化にも柔軟に対応していく素養を身につけることにつながります。
物理学科は1930年に理学部の設立と共に設置された歴史ある学科です。1994年に科学史・科学基礎論分野を加え、また量子物性物理学(電子科学研究所)、相転移物性物理学(電子科学研究所)の2協力講座を設置し、現在に至っています。
本学科では、約40名の教員が質の高い教育と創造的研究を実践しています。我々の研究は、あらゆる時間・空間スケールの自然現象に及びます。
例えば、星・銀河の形成をシミュレートする大規模数値計算 (宇宙物理学)、物質に観られる多彩な電子物性(磁性、誘電性、超伝導など)の解明と制御 (物性物理学)、標準理論を越えた新たな理論の構築 (素粒子物理学)、などが挙げられます。
また原子核理論グループは、北海道大学原子核反応データ研究開発センターにおける原子核反応データ・ベースの構築・公開活動にも参画しており、国内外の当該分野の研究を牽引しています。
研究者一覧
量子物理学分野
-
松王 政浩教授MATSUO Masahiro科学の方法についての様々な問題を哲学的視点で解明する研究テーマ
科学的確証とは何か、科学における因果推論はいかに成立するか、科学的研究と社会的意思決定はどのような関係にあるべきかを哲学的な視点で捉え論じること
-
岡本 崇教授OKAMOTO Takashiスパコンの中に銀河を作る研究テーマ
数値シミュレーションを用いた,銀河や銀河団等の宇宙の構造形成の研究
-
川本 思心准教授KAWAMOTO Shishin「社会の中の科学技術」に迫る研究テーマ
専門知や科学技術の性質はどのようにつくられていくのか。どのようにそこに参加したらよいのか。異分野の専門家間や、専門家と社会の相互行為に着目し、幅広いケースを対象に研究
-
松永 悟明准教授MATSUNAGA Noriaki低次元の世界で活躍する電子たち研究テーマ
輸送現象、トンネル顕微鏡/分光(STM/STS)、磁化測定等を用いたスピン密度波(SDW)のダイナミクス、低次元超伝導体の波動関数の対称性、金属絶縁体近傍の低次元導体の電子物性の研究
-
瀬戸 治准教授SETO Osamu素粒子と宇宙を説明する理論を探求
-
奥田 浩司助教OKUDA Koji非の付くものの理論と数値計算研究テーマ
非平衡熱機関の効率とパワー
非線形振動子の同期現象 -
杉村 和幸助教SUGIMURA Kazuyukiビッグバンから始まる天体の形成を数値シミュレーションで解き明かす研究テーマ
大規模数値流体シミュレーションを用いた初代星・初代銀河形成理論の構築
電子物性物理学分野
-
河本 充司教授KAWAMOTO Atsushi原子の上から電子を眺める研究テーマ
有機機能性物質の選択的同位体置換による核磁気共鳴
-
北 孝文教授KITA Takafumi量子多粒子系の協力現象を探る研究テーマ
超伝導状態の輸送現象の理論的解明
ボーズ=アインシュタイン凝縮相の理論的解明
場の理論による非平衡統計力学 -
吉田 紘行教授YOSHIDA K. Hiroyuki物理と化学で物質を科学する研究テーマ
1. 遷移金属酸化物の新物質探索
2. 幾何学的フラストレート磁性体
3. 超高温超伝導体の探索
4. マルチフェロイクス系の電気磁気効果 -
速水 賢准教授HAYAMI Satoru相関電子系の物性理論:新規量子相・物性現象の開拓研究テーマ
1. ミクロな拡張多極子に基づいた電子物性表現論の構築
2. 電気・磁気・弾性・熱・光自由度間にまたがる新しいマルチフェロイクス現象の開拓
3. 遍歴電子フラストレーション機構に基づいたトポロジカルスピン結晶の創出
4. 磁気スキルミオンおよび磁気渦の安定化機構およびダイナミクス
5. 反強磁性スピントロニクスの実現に向けた機能物性開拓
6. 現実物質が示す非自明な電子相および物性現象の解明 -
井原 慶彦講師IHARA Yoshihikoミクロな視点から電子物性を解明研究テーマ
核磁気共鳴分光法を使った電子物性の精密測定。
温度・磁場・圧力を駆使して極限環境下で実現する電子の奇妙な凝縮状態を解明。
前人未到の磁場領域を精密測定により開拓。 -
福岡 脩平助教FUKUOKA Shuheiミクロとマクロの多角的視点から物性を探索研究テーマ
外場制御下、多重極限下での核磁気共鳴、熱容量測定を駆使した電子物性研究
熱測定装置開発 -
今 布咲子助教KON Fusako量子ビームで観る結晶中の電子の「かたち」研究テーマ
1. ウラン化合物の新物質探索
2. 量子ビーム実験によるf電子状態の微視的研究 -
延兼 啓純助教NOBUKANE Hiroyoshiナノ物理とトポロジーの出会い研究テーマ
物性実験から探るトポロジカル数理構造
ルテニウム酸化物における新規超伝導の開拓
凝縮系物理学分野
-
網塚 浩教授AMITSUKA Hiroshi高次多極子電子系の物理と可能性を追究する研究テーマ
希土類やアクチノイドの金属化合物を中心に発現する新奇な磁性や伝導特性,電磁応答を様々な実験を用いて究明し,固体中電子の本質的自由度である高次多極子に基づく新しい物質観の構築と物質機能の創成を目指す。
-
根本 幸児教授NEMOTO Koji複雑ネットワークが引き起こす相転移現象の謎に迫る研究テーマ
複雑ネットワーク上のスピン系,浸透系,接触過程,感染系などの様々なダイナミクスのの理論的,数値的解析
-
山本 昌司教授YAMAMOTO Shoji物質中の電子宇宙を数理で観る研究テーマ
電子物性理論。量子統計力学に基づく数値・解析多彩な方法論を運用また開発。量子スピン液体に観る分数励起とゲイジ拡張対称操作群,フラストレイション磁性体の修正スピン波理論,遷移金属錯体の光誘起相転移。
-
柳澤 達也教授YANAGISAWA Tatsuya超音波で観る固体中の電子研究テーマ
1) 電流と格子回転・歪みによる複合共役場を用いた拡張多極子検出の試み
2) 局所空間反転対称性無きウラン化合物の超音波物性
3) 高対称カゴ状結晶構造に起因する複合量子自由度の超音波物性研究 -
武貞 正樹准教授TAKESADA Masaki光のなかの物質と「ゆらぎ」、動と静の世界研究テーマ
高分解能広帯域光散乱レーザー分光とエックス線回折を駆使して新奇強誘電体やマルチフェロイックスに発現する巨視的相転移現象から微視的秩序形成現象へのクロスオーバー、さらにその光誘起協力現象をダイナミクスと結晶構造の複眼的視野で解明し、新しい物理現象の開拓を目指す。
-
大原 潤講師OHARA Jun相関電子系に観る多彩な光物性研究テーマ
ハートリー・フォック法、厳密対角化法、群論、スピン波理論を用いた
●強相関電子系の光反応ダイナミクス(非線型格子緩和、光誘起相転移)
●フラストレイト磁性体の動的応答(非弾性中性子・光散乱)
の解明など。 -
日髙 宏之助教HIDAKA Hiroyuki極限環境下で量子物性を探る研究テーマ
超高圧・極低温・強磁場を組み合わせた複合極限環境下における強相関電子系物質の量子物性に関する研究
-
山本 夕可助教YAMAMOTO Sekika光を使って半導体を調べる研究テーマ
磁性半導体や半導体ナノ粒子にレーザー光を照射し、その応答から内部構造や電子状態を調べる
非線形物理学分野
-
小林 達夫教授KOBAYASHI Tatsuo素粒子の世界と宇宙の謎に挑む研究テーマ
ミクロな素粒子の世界とマクロな宇宙の謎を解明する理論(超弦理論)の探求
-
徂徠 和夫教授SORAI Kazuo銀河の進化を観測から明らかに研究テーマ
星間ガスと星生成,銀河の構造の観点を中心に,銀河の進化を観測的に研究.また,南極テラヘルツ望遠鏡プロジェクトにも参加.
-
鈴木 久男教授SUZUKI Hisao素粒子と共に宇宙の始まりの謎を解きます研究テーマ
重力の量子論(超弦理論)や初期宇宙論の研究、また高等教育研究もしています
-
三品 具文准教授MISHINA Tomobumi光と物質の相互作用における過渡的量子過程の解明研究テーマ
フェムト秒レーザーを用いてコヒーレントフォノン現象やテラヘルツ分光の測定を行うことでその背後に潜む過渡的な量子過程の解明に迫る
-
野村 昂亮准教授Nomura Kosuke原子核の統一的な記述に向けて研究テーマ
原子核の構造と動力学、原子核集団運動の微視的理論の構築、および関連周辺分野への応用
-
末廣 一彦講師SUEHIRO Kazuhiko超対称な世界の謎を紐解く研究テーマ
超対称性を持つ場の理論の力学的および非摂動論的性質の解明