イベント

幾何学コロキウム:On Moduli Spaces of Quasi-Maps and Gromov-Witten Invariants(齋藤逸人 北海道大学)

2018年29日 開催

開催日時

2018年2月9日 16時30分 ~ 18時00分

場所

3号館 3ー204

講演者

齋藤 逸人(北海道大学)

アブストラクト:
(古典的)ミラー対称性とは、Calabi-Yau多様体X上のA-模型湯川結合と、Xのミラー多様体と呼ばれるCalabi-Yau多様体X’のB-模型湯川結合の間の等式である。A-模型湯川結合は多様体X上の安定写像と呼ばれる曲線の個数(Gromov-Witten不変量)の変数qに関する母関数として書き表せ、B-模型湯川結合はX’の複素構造のパラメータzに関する関数で、Picard-Fuchs微分方程式の解を組み合わせて書き表せる。変数qとzの間の変換もまたPicard-Fuchs方程式の解の組み合わせであるが、これはミラー写像と呼ばれる。擬写像のモジュライ空間は、その交点数がPicard-Fuchs方程式の解や、ミラー写像を記述できる空間である。

本講演では、最初にトーリック多様体の入門的な概説を行いたい。そのあと、射影空間上の擬写像モジュライ空間に関する詳細な構造、安定写像のモジュライ空間との関係、射影超曲面のGW不変量の新たな公式について述べる。
後半では、擬写像を重み付き射影空間上に拡張することで、楕円曲線のj-不変量の逆関数が擬写像モジュライ空間の交点数の母関数であるということが分かった(指導教官:秦泉寺雅夫先生との共同研究)ので紹介したい。