イベント
応用特異点論ラボ・セミナー:Geometric equivalence among map germs I — A[G]-equivalence–(泉屋周一氏(北大))
2018年5月10日 開催
開催日時
2018年5月10日 16時30分 ~ 2018年5月10日 18時00分
場所
理学部3号館201教室
講演者
泉屋 周一(北海道大学名誉教授)
タイトル: Geometric equivalence among map germs I — A[G]-equivalence–写像芽の間の幾何学的同値関係I –A[G]-同値–
アブストラクト:
滑らかな写像(芽)の特異点論の歴史を見ると、Matherが導入した、A,R,L,C,Kの各同値関係が重要な役割を担っていることが知られている。このうち、A-同値が、多様体間の写像の局所表示を考えると言う点で、写像の(局所)微分位相幾何学の展開を目指したものであると言う事ができる。一方、K-同値は当初A-同値を研究するため(Thomの問題を解くため?)の付随的な概念として定義されたように思われるが、その後、Golubitsky-Scheafferによる分岐理論への応用やルジャンドル特異点論で主要な役割を担うこととなり、それ自身興味深い対象であると理解されるに至った。このK-同値はMatherが導入した時期とほぼ同時期にTougeronによりK[G]-同値(Tougeronの用語ではG-同値)に一般化された(時系列的にどちらが早かったかどうか解らないので一般化と言えるかどうかは不明)。ここで、Gは値域空間芽上の線形リー群である。この同値関係は若干一般化することにより、スピントロニクスや光化学反応制御などの物質科学への応用の可能性があることがわかり、ここ数年研究を進めてきた。同時にMatherの他の同値関係も同様に考えることが可能ではないか?と言う発想によりGを幾何構造に付随した構造群と考えると自然にA[G]-同値の概念が導入される。このA[G]-同値は値域空間芽上の幾何構造に付随したA-同値であり、幾何学的A-同値とも呼ばれるものである。Gをいろいろ変えると様々な場合に帰着されるが、残念ながら、ほとんどの場合はDamonの意味でのGeometric subgroup of Aとはならず、従来の特異点論的手法が役に立たない。講演では、このA[G]-同値の基本的性質やGを変えることにより考えられる様々な幾何学的応用の可能性について述べる。K[G]-同値にかんしては、次の機会に述べたい。