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幾何学コロキウム: 共形擬サブリーマン基本階別リー環および pseudo \(H\)-type Lie algebra について(八井智章 氏, 北海道大学)

2018年720日 開催

開催日時

2018年7月20日 16時30分 ~ 18時00分

場所

理学部3号館3-204室

講演者

八ッ井 智章 (北海道大学)

微分式系 \((M, D)\) の幾何学に於いて, 微分式系 \(D\) 上にリーマン計量 \(\tau\) があるとき \((M, D, \tau )\)はサブリーマン多様体と呼ばれる. これの一般化の一つの方向として, \(\tau\) を擬リーマン計量 \(\tau\) に替えることが考えられる.

一方で, \(D\) 上にリーマン計量 \(\tau\) をその共形類 \([\tau ]\) に置き換えることを考えると, \((M, D, [\tau ])\) は, 共形サブリーマン多様体 (またはサブ共形多様体) と呼ばれる. これの一般化として, \(\tau\) を擬リーマン計量 \(\tau\) に替えると, \((M, D, [\tau ])\) は, 共形擬サブリーマン多様体と呼ばれる. 以下では \(D\) が完全積分可能である場合を除外する. 共形擬サブリーマン多様体 \((M, D, [\tau ])\) に於いて, \(D\) に正則性と bracket-generating という条件を仮定すると, \(M\) の各点 x に対して, 表象代数と呼ばれる 基本階別リー環 (FGLA) \(\displaystyle \mathfrak{m}(x) = \bigoplus_{p<0} \mathfrak{g}_p (x)\) が定義され, 対\((\mathfrak{m}(x), [\tau_x ])\) は共形擬サブリーマン基本階別リー環(conformal pseudo-subriemannian FGLA(CPFGLA)) となる (深さ 2 以上の FGLA \(\displaystyle \mathfrak{m} =\bigoplus_{p<0} \mathfrak{g}_p\) と \(\mathfrak{g}_{−1}\) 上の非退化対称双一次形式 \(g\) に対して, 対 \((\mathfrak{m}, [g])\) を CPGLA と呼ぶ). CPFGLA の代数的延長 (Tanaka prolongation) を調べることが共形擬サブリーマン多様体の同値問題の考察の第一歩となる.CPFGLA \((\mathfrak{m}, [g])\) の延長 \(\displaystyle \mathfrak{g} =\bigoplus_{p\in\mathbb{Z}} \mathfrak{g}_p\) は, 有限次元となる. さらに \(g\) が正値であり \(\mathfrak{g}_1 \ne 0\) であるときには, \(\mathfrak{g}\) は実階数 \(1\) の実単純リー環となることが知られている. しかし, \(g\) の符号数を一般にすると \(\mathfrak{g}_1 \ne 0\)かつ \(\mathfrak{g}\) が半単純でない例が存在する. そこで, 延長が半単純である CPFGLA の分類を試みる. さらに CPFGLA と pseudo \(H\)-type Lie algebra との関連性について述べたいと思う.

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