イベント
談話会: 超平面配置の被覆空間とMilnorファイバー境界(菅原朔見)、群の双対空間上の確率論と量子情報理論(佐藤僚亮)
2025年5月29日 開催
Schedule:15:00-17:30
Place: 理学部4号館5階4-501(対面開催)
Speaker: 菅原 朔見 氏(北大理)、佐藤 僚亮 氏(北大理)
Schedule:
15:00~16:00 菅原 朔見 氏
16:00~16:30 休憩
16:30~17:30 佐藤 僚亮 氏
菅原 朔見/超平面配置の被覆空間とMilnorファイバー境界
超平面配置とは,ユークリッド空間内の超平面の有限集合のことである.超平面配置は組合せ論,代数幾何,トポロジーなど様々な観点から研究されてきた対象であり,トポロジーにおいては,「補集合の位相不変量が組合せ論的構造に決まるか?」というものが大きな問題意識である.中でも,Milnorファイバーや補集合の被覆空間については未解決な問題が多く,現在も研究が盛んである.講演では超平面配置のトポロジーに関して古典的に知られている結果や有名な未解決問題を紹介し,その後,講演者が近年研究している超平面配置の被覆空間や,Milnorファイバーの境界として現れる3次元多様体の位相不変量について紹介する.本講演の内容は一部,吉永正彦氏(大阪大学)と石橋卓氏(ARISE Analytics)との共同研究に基づく.
佐藤 僚亮/群の双対空間上の確率論と量子情報理論
群の表現論は(既約分解あるいはFourier解析を通じて)その双対空間上の確率論と自然に関係する.本講演の前半では,群の双対空間上の確率過程について議論する.後半でさらに,そうした確率過程と量子情報理論の関係について議論する.量子情報理論において,二つの量子系の合成系は,セパラブル状態またはエンタングル状態のいずれかをとり,特にエンタングル状態を検出することが基本的な課題である.本講演では,合成系のセパラブル状態と群の双対空間上のマルコフ過程の行列値劣調和関数との関係を議論する.その結果として,合成系のセパラブル状態の(結果としてエンタングル状態の)特徴付けを与える量子de Finetti定理の新しい証明を与える.本講演の後半はBenoit Collins氏(京都大学)とThierry Giordano氏(University of Ottawa)との共同研究に基づく.