イベント
偏微分方程式セミナー: 散乱逆問題に対する未知領域の再構成について, 古屋 貴士 氏
2021年5月28日 開催
開催日時
2021年5月28日 16時 30分 ~ 2021年5月28日 17時 30分
場所
オンライン開催
講演者
古屋 貴士 氏 (北海道大学)
散乱逆問題とは, 散乱した波からその散乱の原因を求める問題である. 超音波を用いてコンクリート内部の欠陥を検査する非破壊検査などの応用が考えられ, 数学上では, 放射条件を満たす外部領域のヘルムホルツ方程式の解の漸近挙動に現れる散乱振幅から, 領域を求める問題として定式化される. 本講演では, monotonicity法と呼ばれる手法に基づいて, 未知領域の再構成を数学的に考察する. monotonicity法とは, 未知領域の再構成を反復的な最適解に委ねるのではなく, ヘルムホルツ方程式の特異解の特性を利用し直接的に再構成する手法である. テスト用の領域と未知領域との位置関係を判定する指標関数を散乱振幅を核とする有界線形作用素の固有値から構成し, その指標関数の発散具合によってテスト領域と未知領域がどの程度近くにあるのかを推定することができる. また, 理論的な考察だけでなく, 実際に指標関数の数値計算を行い, 視覚的に未知領域が再構成されることも確認する.
世話人:黒田 紘敏、浜向 直、古屋 貴士