イベント

講演会:社会で貢献する数学

2024年125日 開催

数理連携推進室主催のイベントを開催します。

日時:令和6年12月5日(木)16:30-18:00
会場:理学部3号館3階大講義室(3-309)
対象:理学部・理学院の学生
講演:大泉嶺氏(国立社会保障・人口問題研究所)
   水戸部絵理氏(CIC Institute)
主催:数理連携推進室(世話人:坂井 哲

ポスター(クリックで表示されます)
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数理人口学による日本の少子・高齢化の数学的構造
大泉 嶺 氏(国立社会保障・人口問題研究所)

数理人口学は関数解析・偏微分方程式、または行列のスペクトル理論などを屈指した人口学および応用数学の歴とした1分野である。しかし、日本の少子・高齢化問題など人口を扱うメディアに登場するコメンテータは社会学か経済学を背景に持つ学者か、“何かの”活動家、そして「長年少子・高齢化問題を取材してきた」というどこかの新聞社の論説委員というのが現状である。彼らに特別問題があるわけでは無いが、結果としてジェンダー問題か景気対策問題に話がすり替わり合計特殊出生率や人口置換水準といった人口学用語が登場するだけで本来の意味で語られることは無い。では、何故、数理人口学者が出てこないのか? それは、正統な数理人口学者が日本に二人しか居ないからである。そのうちの若輩者の方として、本講演では数理人口学の基礎とそれらの数学を用いて少子高齢化が解決される事がどういうことかについて議論したい。

[講演者紹介]
大泉 嶺 /博士(環境科学)/国立社会保障・人口問題研究所 主任研究官(専門:確率解析、structured population models、制御理論、数理生物学)
2013年北海道大学環境科学院にて博士号(環境科学)取得、現在の研究をスタート。2013年より東京大学大学院数理科学科(特任研究員)、2014年明治大学研究・知財戦略機構 研究推進員、2015年国立社会保障・人口問題研究所に入省と同時に厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室に出向、2017年以降現職に至る。

 

産業の課題解消における数学の役割
水戸部 絵理 氏(CIC Institute)

2022年11月のOpen AIによるChat GPTの公開以降の生成AIの発展は、此許のAIの急速な成長を象徴する出来事と言えるでしょう。AIへの注目が集まると同時に、産業界における”数学”の重要性が高まっていると感じられます。特に、シード〜レイターのテクノロジー領域のスタートアップに支援者として携わってきた立場から、数学が産業界の課題解消に貢献してきた過去、現在の取り組み、今後の可能性についてお話しいたします。加えて、産業発展の観点で数学を学ぶ意義や研究者以外のキャリアについても言及いたします。

[講演者紹介]
水戸部 絵理 /修士(理学)/CIC Institute
2018年3月北海道大学大学院 理学院数学専攻修了(坂井研究室、専門:確率微分方程式)、同年大和証券株式会社に入社、投資銀行部門コーポレートファイナンス第二部にて、TMT(Telecom Media Technology)セクターの大企業向けに資金調達・M&A戦略の立案・案件遂行、同領域のスタートアップの上場支援、スタートアップのアナリスト業務に従事。2023年4月よりA.T.カーニー株式会社にて、主にハイテク系の大企業向けのコンサルティング業務に従事、2024年8月より現職(A.T. カーニー株式会社より出向)。量子技術等、ディープテック系スタートアップのアクセラレーションプログラムも担当。