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談話会: リーマン多様体のL^2リュービル性とラプラシアン本質的自己共役性について(正宗淳), 数え上げ準多項式(吉永正彦), Nonexistence of global solutions to the Cauchy problem for semilinear wave equations(Yordanov Borislav)

2022年310日 開催

Schedule:15:00-17:45

Place: オンライン開催(zoom)

Speaker: 正宗淳(北大理), 吉永正彦(北大理), Yordanov Borislav


正宗淳/リーマン多様体のL^2リュービル性とラプラシアンの本質的自己共役性について

L^2調和関数が定数に限るとき,L2-リュービル性が成立するという.
S.T Yauの研究により,L2-リュービル性は完備多様体で成り立つことはよく知られているが,一般の多様体の場合の状況については殆ど研究がない.一方,完備多様体のラプラシアンは本質的自己共役であることがR.Strichartzらの仕事により知られているが,L2-リュービル性同様,一般の非完備多様体の場合は未だよく分かっていない.適切な距離を離散グラフに導入することで同様の結果が成立することが最近の研究により明らかにされてきた.本講演では,L2-リュービル性とラプラシアンの本質的自己共役性が完備とは限らない一般のリーマン多様体や離散グラフ上で密接に関係していることを説明し,それらの関係を具体例を用いて明らかにしていく.
B. Hua,R. Wojciechowski,講演者の共同研究に基づく.


吉永正彦/数え上げ準多項式

数え上げ組み合わせ論の主なテーマは、自然数 n に対して定まる有限集合 X_n の位数 |X_n| を記述することである。わかりやすい場合には、これは n の多項式になる。しかしながら、しばしば n の偶奇で場合分けをすれば多項式になる場合や、n を 3 で割った余りによって使う多項式を変える必要がある場合などがある。このような「周期的な多項式」は準多項式と呼ばれる。
準多項式はこれまで、ある意味、「妥協の産物」という扱いを受けてきた。
実際、典型的な結果は「数え上げ準多項式は、多項式の場合と同様に~~~を満たす」というタイプのもので、それはあたかも多項式と似ている部分があることによってのみ、準多項式はその存在を認められていると言わんばかりであった。
ここ数年の研究で、数え上げ準多項式の、準多項式であるがゆえの複雑に見える振る舞いの中に、その対象が持つ性質が見えてきており、上のような見方を覆す結果がいくつか得られてきたことを報告したい。


Yordanov Borislav / Nonexistence of global solutions to the Cauchy problem for semilinear wave equations

This talk is devoted to the simplest models for propagation of waves with self-interaction in unbounded domains, which was proposed by F. John in 1979:
\begin{eqnarray*}
\label{main}
u_{tt}-\Delta_x u=|u|^{p},& & x\in \mathbb{R}^3,\quad t>0.
\end{eqnarray*}
Here $\Delta_x$ means the Laplace operator in $\mathbb{R}^3$, while $p>1$ describes the nonlinearity. In contrast to $\frac{d^2u}{dt^2}=|u|^p$, the partial differential equation admits global solutions for smooth and small initial data if the exponent $p>1+\sqrt{2}$. The latter number is special, as certain solutions with arbitrarily small initial data can blow up in finite time if $p\leq 1+\sqrt{2}$.

We discuss generalizations of this problem to second-order elliptic operators with variable coefficients and higher dimensions, where the critical exponent $$p_0(n)=\frac{n+1+\sqrt{n^2+10n-7}}{2(n-1)}$$ was discovered by W. Strauss in 1981.