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最終講義-東京大学大学院数理科学研究科談話会 : 儀我美一氏 (東京大学教授/北海道大学名誉教授)

2021年319日 開催

本学名誉教授の儀我美一先生が、今年度末をもって東京大学を定年退職されます。最終講義が東京大学大学院数理科学研究科談話会としてオンライン開催されますので、ご案内申し上げます。申し込みや詳細につきましては東京大学大学院数理科学研究科談話会のサイトをご覧ください。

時間: 15:00-16:00

場所:オンライン開催

講演者:儀我 美一 氏( 東京大学教授・北海道大学名誉教授)

題目:微分方程式で表現される粘性や拡散の効果

概要:微分方程式は、科学や技術の諸現象を記述するために広く用いられています。粘性のある流体の運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式や、拡散現象を記述する拡散方程式など、さまざまな例があります。また近年、微分幾何学で注目されている平均曲率流方程式は、もともとは金属の結晶表面(粒界)の形状変化を記述するために導入された拡散型の微分方程式です。粘性や拡散からは状況を平滑化(スムージング)する効果が想像されますが、一方で液滴がちぎれるような特異点が生じる場合もあります。このような現象を微分方程式で捉えるためには、微分できない関数を微分方程式の解とみなす必要があります。また、画像からノイズを除去するために用いられる全変動流型方程式のような特異拡散方程式については、何をもって解とすればよいかは自明ではありません。本講演では、方程式の解をどのように定義したらよいかという問題を含めて、多様な拡散効果の扱い方を、講演者が携わってきた数学解析を中心に、その考え方を概説します。さらに、結晶成長分野、画像処理分野、さらにデータサイエンス分野への応用について触れます。

ポスター