イベント

偏微分方程式セミナー: Kobayashi-Warren-Carterエネルギー微細な特異極限, 岡本

2020年116日 開催

開催日時

2020年11月6日 16時 30分 ~ 2020年11月6日 17時 30分

場所

オンライン開催

講演者

岡本 潤 氏 (東京大学)

本講演ではKobayashi-Warren-Carterエネルギー(以下KWCエネルギー)の特異極限問題について考察する。KWCエネルギーとは多結晶物質の結晶粒界のダイナミクスを記述するモデルとして、2000年代初頭に小林亮、Warren、Carterによって与えられたモデルである。KWCエネルギーとよく似た形を持つ汎関数として、AmbrosioとTortorelliによって与えられたMumford-Shah型汎関数の近似エネルギー(以下ATエネルギー)があるが、ATエネルギーにおいては、目的関数の不連続点がどこにあるのかという情報だけが影響する。しかし、KWCエネルギーにおいては、不連続点の場所の情報に加えて、さらに不連続点における値の情報が必要となる。したがって低次元の測度0の集合を無視してしまうような $L^1$ などの位相で特異極限を考察することは不十分である。我々は「関数のグラフ収束」というより細かい位相を導入することにより、KWCエネルギーの精密な特異極限の特徴づけに成功した。

世話人:黒田 紘敏、浜向 直