イベント

幾何学コロキウム:幾何系 修士論文発表練習会

2019年125日 開催

開催日時

2019125 1530  1800

場所

理学部3号館3-204室

講演者

小山 元希、丹野 信義、川原 大輝、今西 翔一郎、矢幅 公太、桑田 健、三輪 七海 (北海道大学)

プログラム

小山 元希  15:30-15:50

丹野 信義  15:50-16:10

川原 大輝  16:10-16:30

今西 翔一郎 16:30-16:50

(休憩  16:40-17:00

矢幅 公太  17:00-17:20

桑田 健  17:20-17:40

三輪 七海  17:40-18:00

タイトルと概要は以下です。

小山 元希
題目:Topology of complements of real line arrangements
概要:
n次元ユークリッド空間における実直線配置の補空間のホモトピータイプと3次元ユークリッド空間における実直線配置の補空間の位相形について主にStratified Morse theory を用いて研究し、完全に決定しました。

丹野 信義
題目:Quandleenveloping groupについて
概要:
quandle2項演算からなる代数系の一種である。quandleにはenveloping groupと呼ばれる群が付随し、quandleの研究において重要な役割を果たす。本論文では、quandleenveloping groupに関する既存の二つの結果をquandleの有限性等の条件を外す形で一般化した。

川原 大輝
題目:超幾何微分方程式のモノドロミー群について
概要:
超幾何微分方程式のモノドロミー群に関する修士論文の発表を行う。
最初に超幾何群の有限性の判定条件を与えるBeukers-Heckmanによる定理を述べる。
次に、モノドロミー群がそれぞれE_8Weyl群、5次対称群と同型であるような超幾何微分方程式について述べる。
最後に超幾何級数による5次方程式の解法について述べる。

今西 翔一郎
題目:Mathai-Quillen formalismによるグラスマン多様体G(2, N)のEuler標数の計算
概要:
Mathai-Quillen formalism(MQ formalism)は有限次元ベクトル束のEuler類の構成手法である.その Euler 類はコホモロジー類としては切断の取り方に依らないという性質を持ちながら,露わに書き下すと切断に依存する項が表れる,という性質を持っている.また,曲率形式のパフィアン等が定義できない無限次元のベクトル束に対しても,それらに頼らず切断のみを用いて位相不変量を計算する事ができる,という利点もある.この利点を活かし,MQ formalismを位相的ゲージ場の理論(TQFT)のラグランジアンの構成に用いたものが,Atiyah-Jeffrey解釈である.TQFT において,ゲージ場の成す空間はゲージ変換群の下で対称性を持つ商多様体となる.そこで,群作用に対して垂直な方向への射影を行う項を加える事(ゲージ固定)で,商多様体上の無限次元ベクトル束の場合へと拡張し,TQFTのラグランジアンの構成等を行った.しかし,その応用において重要な役割を担っているゲージ固定の作業を含んだMQ formalismを,商多様体上の有限次元ベクトル束の場合へ応用するという試みはあまり為されてこなかった.そこで本修士論文では,MQ formalismAtiyah-Jeffrey解釈を用いて,商多様体と同一視できる多様体である,複素射影空間CP^N及びグラスマン多様体G(2,N)のEuler標数が計算できる事を示した.また,MQ formalismの計算過程において経路積分中の被積分関数として生じる因子が,最高次Chern類から求まる接束のEuler類と対応付けられる事も確認した.

矢幅 公太
題目:空間曲線の特異射影の数え上げ公式
概要:
本論文では,3 次元射影空間の中の非特異曲線を任意の視点から射影平面に射影することで得られる写像の特異点を扱う.一般的な空間曲線に対して,任意の視点からの中心射影に現れる(多重)特異点型は12 種類に分類されている.このような曲線を射影ジェネリック曲線と呼ぶ.ここで,各特異点型が現れる中心射影の視点の軌跡は,線織面や直線,さらに孤立点となることに注意する.本論文の目標は,複素射影代数幾何の数え上げ問題として,こうした視点がなす線織面の次数や直線の本数に関する数え上げ公式を与えることである.点と直線あるいは点と平面の対合による古典的積分幾何とThom 多項式を用いるのが新しい着眼点である.

桑田 健
題目:正則ベクトル場と位相的シグマモデル
概要:
特性類の積分公式の一つにボットの留数定理がある.一方,物理のモデルの一つにシグマ模型というものがある.これはリーマン面から多様体への写像の力学を記述する模型である.これにツイストという操作を行うことで位相的シグマ模型(A模型)を得ることができる.この模型の観測量は多様体上の微分形式と対応を付けることができる.またこのモデルの0次相関関数は観測量の多様体上での積分とみなせる.本研究ではこの性質を用いてシグマ模型にポテンシャル項を加えることで留数定理の導出を試みている.

三輪 七海
題目:アファインはめ込みが誘導するリッチテンソル
概要:
統計多様体は互いに双対なアファイン接続を持つ.非退化等積アファイン超曲面が誘導する統計多様体に対して,それらのリッチ曲率が等しくなるような超曲面の性質を求める.さらに,同様な問題を余次元が2の非退化等積中心アファインはめ込みの場合に考察する.