イベント

北海道特殊関数セミナー:単純 K3 特異点と変形と GKZ 方程式(志賀 弘典)

2019年221日 開催

開催日時

201936 1500 201936 1630

場所

北海道大学 理学部3号館4階 3-413
(いつもと開催曜日・時間が異なります)

講演者

志賀 弘典(千葉大 名誉教授)

講演題目:単純 K3 特異点と変形と GKZ 方程式

アブストラクト:
「正規孤立特異点のヴァーサルな変形族を考え、その周期積分を調べ、さらに、その周期領域上の保型函数を構成する」、というプランは、斉藤恭司氏が長い年月考えていたものである。

この構想の原型としては、「特異点 z^2 = y^3 の変形として楕円曲線族 z^2 = y^3 + g_2y + g_3 が現れ、さらに、楕円モジュラー函数が導かれる」、という古典理論がある( g_2 = 120 ζ(4)E_4(τ); g_3 = 280 ζ(6)E_6(τ) にも注意、E_4, E_6 は正規化されたEisenstein 級数)。ここでは、斉藤氏の視点を少し変えて考える。

  1. M. Reid が最初に言及し)米村崇氏(1990) が定義式を与えた95 個の、「(超曲面型)単純K3 型特異点」を考え、その例外因子として現れる K3 曲面族 F に注目する。これらの K3 曲面のピカール格子の構造は Sarah-Marie Belcastro さん(1997) が決定し、それによって楕円型 K3 曲面族として、この族を実現できる。
  2. 他方、Batyrev によって導入された “Reexive Polytop” 3 次元 Terminal なもの100 個が、大塚真(1997) によって列挙され、そのPicard 格子も証明なしに与えられている。

この両者の照合によって幾つかの興味深い、超越格子によって特徴付けられるK3 曲面族が現れる。本講演では、その中の一種について、GKZ 超幾何微分方程式の立場から考察してみる。

(第18回北海道特殊関数セミナー)