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応用特異点論ラボセミナー:特異点論によるバンド交差の幾何構造の分類、分岐解析およびその不変量の解析(寺本央氏,北海道大学)

2019年524日 開催

開催日時

2019524 1630 2019524 1800

場所

知識メディアラボラトリー206室
※これまでと異なるのでご注意下さい

講演者

寺本 央 (北海道大学)

タイトル: 特異点論によるバンド交差の幾何構造の分類、分岐解析およびその不変量の解析

アブストラクト:
 講演者らの包括的グレブナー系による特異点分類自動化アルゴリズムによりいろいろな状況の下でのバンド交差の幾何構造の分類、分岐解析およびその不変量の解析を行う。先に報告した結晶表面における時間反転対称性および Cnv (n = 3, 4, 6) の場合に加え、Cnv (n = 1, 2) および Cn (n = 1, 2, 3, 4, 6) の場合、および、時間反転対称性および D3d 対称性をもつ結晶内部のΓ点近傍での二つのある2次元既約複表現に属するバンド間の交差の分類、分岐解析を議論する。以上の分類は泉屋らによる K[\rho(G)] 同値に同変性を加えた同値関係における分類問題に帰着される。結晶表面における Cn (n = 1, 2, 3, 4, 6) の場合には不変環が primary invariant ではなく secondary invariant も持ち、接空間の代数構造等が Cnv の場合に比べて若干複雑となる。結晶表面における Cn または Cnv n が偶数の場合には Winding number が分類の不変量として定義される。これは固体表面の対称点周りでのスピンの巻き数に相し、表面に磁場をかけたときの応答性等に関係するものと期待される。また、結晶が時間反転対称性および空間反転対称性を持つ場合には、TKNN 指数というトポロジカル指数が定義されるが、それはブロッホ波数空間での TRIM (Time Reversal Invariant Momenta) 点での占有バンドのパリティ固有値の積で定義される。D3d 対称性を持つ場合にこの TRIM の一つである点でパリティ固有値が入れ替わる瞬間どのようなバンドの幾何構造の変化が起こりうるのかを上記の解析結果をもとに議論する。