イベント

非線形集中セミナー in 北海道

2024年34日 開催

Time:    2024年3月4日(月) 15時30分 ~  17時00分

Place:  北海道大学理学部3号館2階202号室

Speaker:  中村 文彦(北見工業大学)

Title: 準安定状態をもつ現象の力学系からの理解に向けた試み

Abstract: 力学系の理論は主として時間を無限大とした極限からの現象理解に貢献してきた。一方で、そこからわかる挙動がはるか先の未来の現象であった場合は、時刻無限大の極限を取る前の段階、すなわち有限時間内での挙動が本質的に必要な情報をもっている場合がある。こういった有限時間内に観測される安定状態は準安定状態などと呼ばれている。本セミナーでは、ある程度長い有限時間のうちはある領域で時間発展し続けるものの、時刻無限大では別の領域の挙動になってしまうような例や、一見3周期の挙動に見える現象が、時刻無限大では1周期の挙動として捉えられてしまう例を紹介し、一つ目の例に対してはどうすればもとの領域で時間発展する挙動の統計的性質を計算することができるか、二つ目の例に対してはどうすれば数学的に3周期という挙動として証明できるか議論する。このような有限時間内の現象を理解するために、摂動が与えられた開放系において脱出率の導出を試みた Keller & Liverani (2008) による論文を紹介し、我々のモデルへの適用を試みる。

世話人: 新居俊作(九州大学), 栄伸一郎(北海道大学)