偏微分方程式セミナー: Lower gradient estimates for viscosity solutions to first-order Hamilton-Jacobi equations, 廣瀬 和也 氏

Time：16：30 – 17：30

Place：理学部 4 号館 4-501 (hybrid)

Organizer：喜多 航佑

Speaker：廣瀬 和也 氏 (北海道大学)

Title：Lower gradient estimates for viscosity solutions to first-order Hamilton-Jacobi equations

Abstract：本講演では，解自身に依存する場合も含む，凸でリプシッツ連続なハミルトニアンをもつハミルトン・ヤコビ方程式の粘性解に対して得られる空間勾配の下界評価について，いくつかの新しい結果を紹介する．我々は2通りの方法で勾配評価を導出する．1つは偏微分方程式に基づくものであり，下限畳み込みの性質と局所比較原理を用いる．この方法は[Ley, 2001]によって与えられたが，我々はより鋭い勾配評価を与えるとともに，その適用範囲をより広い領域へと拡張する．もう一つは力学的手法であり，ハミルトン系の軌道に沿って初期勾配の発展を追跡するというものである．この手法は [Hamamuki–H., 2023] によって導入された．本研究では，これを接触ハミルトン系へと拡張し，[Cannarsa–Cheng–Jin–Wang–Yan, 2020] によって発展されたHerglotzの変分原理を用いる．さらに，ハミルトニアンが幾何学的で，かつ解に依存しない場合には，力学的手法によって幾何学的性質が明らかとなる．また，得られた勾配評価が実際に最適であることを示すため，いくつかの具体例も紹介する．なお，本研究の一部は浜向直氏（北海道大学）との共同研究に基づくものである．