安田正大 教授

YASUDA Seidai

代数系

所属
大学院理学研究院
研究分野
整数論、数論幾何学
キーワード
ガロア表現、p進ホッジ理論、多重ゼータ値、関数体の数論

研究内容

今まで整数論のいろいろな話題に取り組んできましたが、興味の原点にあるのはL関数の不思議を探ることだと自分では思っています。L関数の特殊値については今まで関数体上の場合を中心に研究してきましたが、最近は代数体上の場合に興味があり、今後は代数体上の場合に研究の軸足を移してゆきたいと考えています。技術的にはエタールコホモロジーの理論、p進表現の理論やp進Hodge理論が専門ですが、自分に馴染みのない理論についても研究に必要とあらば積極的に導入して研究することをモットーとしています。

主要論文

  • Belyi’s theorem in characteristic two, Y. Sugiyama, S. Yasuda, Compositio Math., 2020, 156, 325-339.
    DOI: 10.1112/S0010437X19007723
  • First and second K-groups of an elliptic curve over a global field of positive characteristic, S. Kondo, S. Yasuda, Annales de l’Institute Fourier, 2018, 68, no. 5, 2005-2067.
    DOI: 10.5802/aif.3202
  • The l-parity conjecture for abelian varieties over function fields of characteristic p>0, F. Trihan, S. Yasuda, Compositio Math., 2020, 150, Issue 04, 507-522.
    DOI: 10.1112/S0010437X13007501
  • Zeta elements in the K-theory of Drinfeld modular varieties, S. Kondo, S. Yasuda, Math. Ann., 2012, 354, 529-587.
    DOI: 10.1007/s00208-011-0735-3
  • Non-negativity of the Fourier coefficients of eta products associated to regular systems of weights, S. Yasuda, Publ. RIMS, Kyoto Univ., 2010, 46, Issue 3, 549-563.
    DOI: 10.2977/PRIMS/17

研究者総覧

リンク

連絡先

sese(at)math.sci.hokudai.ac.jp

インタビュー

Q.ご出身と、大学を教えてください。

出身は東京です。小さい頃に札幌に3年くらい住んでしました。大学は東京大学です。

Q.北大の印象はいかがですか?

これまでいろんなところに住みましたが、札幌は住んでみて日本で一番良かったと思ったのもあって、札幌に来たというのもありますね。まだあまり大学に来られていないので分からないところもありますが、キャンパスはめちゃくちゃきれいですね。外国みたいで、散歩してみたいと思います。駅からも近いですし。

Q.先生はいつ頃から数学を好きだと思うようになりましたか?

どうでしょうね~。小学生の頃は数学は嫌いではなかったですけど、理科の方が好きでしたね。生物とか。そういうのを研究できたらいいなと思っていたんですけど、中学に入ったら周りに勉強ができる人が沢山いましてね、中学生なのに高校数学まで終えたとか。そういう人と仲良くしているうちに数学が面白いと思うようになってきて。あと学校の先生方が東大数学出身だったりして、進んだ内容を教えてくれたりしたんですよね。ヒルベルトのプログラムとか、そういうので面白いなと思ったのもありますね。

Q.そういう環境のなかで、いつ頃からこのまま数学の研究の道に進もうと思われましたか?

高校生の時に通っていた塾の数学の先生に色々教えてもらったというのはありますね。初等整数論とか、イデアル論とか代数曲線とか。そういうのを勉強する機会を与えてもらったりして、その時は難しくてつまらないなぁと正直思ったこともありましたけど、でも一度そういうのを先にやってから大学で改めて勉強すると、2回目なのでわかった感じがして。面白いなぁって思えるようになりましたね。

Q.大学に入ってから一貫して数学を勉強されていたのですか?

そうでもないですね。僕の大学では1、2年は教養があったので、人文系の講義とか、そういうのも楽しいと思っていたこともありました。理系じゃない方が楽しくて、でも色々勉強して自分には才能がないなぁと思って、数学の方が自分には合っているかなあと思って流れてきた感じです。

Q.人文系の講義というと?

例えば第2外国語の授業があって何となくドイツ語を取ったんです。でも整数論、中でも数論幾何学については基本的な文献にフランス語のものが多いのでフランス語を勉強したほうがよい、というアドバイスをいろいろな方からいただいたので、それでフランス語を第3外国語に取ったら、担当の先生がボソボソ話す感じだったんですよね。何を言っているのかよく分からないけど、でもなんか話が楽しそうだったんですよね・・・というのを今思い出しました(笑)。でもおかげで、フランス語の文献はある程度読むことができますね。

Q.日々数学を研究される中で、行き詰まるときはありますか?

毎日壁にぶち当たっていますよ。でもどうですかね・・結構、1個論文を書くと似たようなテーマで論文書けたりするんですけど、あんまり僕はそういうのは好きじゃないので。常に新しい事に挑戦したいなと思っているので、敢えて壁にぶち当たる方向で考えているところもありますね。1テーマ1論文でやれれば理想ですけども。

Q.趣味はありますか?

好きなことはいろいろありますけど、これまで自然が多いところにいたこともあって自然観察が好きですね。今も図鑑とか持っていますし。せっかくこういう自然豊かなところにいるので、色々できたらいいなと思います。近くにポプラ並木とか、羊もいますよね!博物館も気になっています。

Q.学生に対して求めるものはありますか?

あまりこちらから押し付けたりしたくないと思うので、なるべく本人の意見を尊重したいと思っています。やりたいことをはっきり持っている人の方が育てやすいですし、そういうのを見つけられる人が伸びていく気がします。

Q.明確な目標を持てない学生もいるかもしれませんが・・・

何かを面白いと思えると、だいたい持てると思うんですよね。自分が学生の時は面白いと思えていたかどうか微妙なところはありますけど・・・修行みたいなところがあったので(笑)面白いことをがんがん追求できるようにしてもらえればいいかなと思います。

Q.大学1年生やまだきちんと勉強していない人が「数論」と聞いてイメージするものと、実際に数論を勉強し始めた人が抱く印象には相当ギャップがあるように思います。数論に興味を持つ人は多いと思いますが、そのような学生さんにメッセージをお願いします。

そうですね・・僕がやっている研究と近ければ専門的な指導ができますが、そうすると予備知識が結構必要になるんですよね。代数幾何の知識とか技術、いわゆるスキーム論やその基礎になっている理論、代数幾何そのものでなくても層の理論や導来圏とか。そういうのは多分カリキュラムでは出てきませんが、大学院に入って専門的な勉強を始めるとすぐに必要になってくるので、そういうのを勉強しておいてもらえると本当にありがたいですね。
大学1年生でしたら、代数的整数論などの古典的な話を早めに勉強しておくとよいのかなと思います。4年生になって初めて勉強するようだと、古典的な知識の習得に時間がかかりなかなか研究に着手できないことになりかねません。あともう一つはいろんな数学に使えるような圏論を知っているといろんなことを見通しよく分かるのではと思いますね。

2020年(令和2年) 12月インタビュー実施