小林政晴 准教授
研究概要
研究内容
私の専門分野は解析学です。特に、調和解析学、実解析学と呼ばれる分野に興味を持ち、これまで研究を行なってきました。大まかに述べると、関数が持っている様々な”量”を調べて、関数の性質(例えば、有界性、連続性、微分可能性、可積分性など)を研究し、さらに関数に作用素を施すと関数が持つ”量”がどのように変化するのかを調べています。”量”を計るために、様々なノルム
(または、ノルムにより定められる関数空間)を用います。
私は、1980年頃オーストリアのH. Feichtinger氏により導入されたmodulation空間に興味を持ち、modulation空間の立場から擬微分作用素や偏微分方程式に関連する作用素を研究しています。
主要論文
- M. Kobayashi, M. Sugimoto, The inclusion relation between Sobolev
and
modulation spaces, J. Funct. Anal. 260 (2011), 3189–3208. - K. Kato, M. Kobayashi, S. Ito, Estimates on modulation spaces for
Schrödinger evolution
operators with quadratic and sub-quadratic potentials, J. Funct. Anal.
266 (2014), 733–753. - J. Cunanan, M. Kobayashi, M. Sugimoto, Inclusion relations between
Lp-Sobolev and Wiener amalgam
spaces, J. Funct. Anal. 268 (2015), 239–254.
研究者総覧
https://researchers.general.hokudai.ac.jp/profile/ja.51f99ea373f37152520e17560c007669.html
連絡先
m-kobayashi(at)math.sci.hokudai.ac.jp
学生へのひとこと
どちらかと言うと、私は大学入学前ではなく大学入学後に数学が好きになった人間です。数学に興味がある人、数学が好きな人はぜひ北海道大学理学部数学科に来てください。
インタビュー
①出身高校・大学を教えてください。
高校は日本大学高等学校で大学は東京理科大学です。
出身は神奈川県です。
②どんな研究をしていますか?
調和解析学を研究していて、特に関数空間論というのをやっています。関数空間論とは何かというと、関数全体の集まりを考えたときに、その中である特別な性質をもっているものを全て集めたものを関数空間と言うのですが、そういうものについて研究しています。
sin x とか cos x とか指数関数とかいろんな関数を高校生のときに習ったと思いますが、関数一個一個に注目するのではなく、共通の性質を持っているものを一つの集まりと考えます。注目する性質によっていろんなものが考えられますが、集めた関数の集まりが共通に持つ他の性質や、その集まりに何かを作用させる…例えば、それぞれの関数を微分したら、とか積分したらとか、本来はもっと複雑なものですが…その集まりの持つ性質がどのように変化するかについて研究しています。
③数学を選んだ理由を教えてください。
高校の時は色々やりたいことがあったんですけど、たまたま選んだのが数学でした。高校のときに数学が好きだったかと言うとそれほどでもなかったかもしれません。
でもなんとなくちょっと気にはなっていたので、大学は数学科に行ったのかもしれません。
④大学生の時はどんな学生でしたか?
授業にはちゃんと出てましたが、基本は授業出たあとにアルバイトをしてましたね。だからちゃんと復習などをしないあまりよくない学生だったかもしれません。
⑤修士や博士のときもアルバイトができましたか?
私はしてました。ずっと数学だけをやっているのが少し嫌だったので、全然関係ないファミレスのコックや魚屋などでアルバイトをしてました。
寿司屋でアルバイトをしたこともありますし、あまり数学と関係のないことがやりたかったんです。接客も好きだったし結局なんで数学科に行ったのかというのが曖昧だったので、いろんなことをやってみたいと思ったんです。そのひとつの選択肢がアルバイトだったのかもしれません。
⑥その後数学のどんなところが魅力的で数学の道を選ぶことになりましたか?
魅力的…というか…。大学1、2年のときはアルバイトばっかりやっていて、あまり数学をやってなかったのですが、大学3年生のときにルベーグ積分という授業がありまして、その授業をうけたときに、先生が何を言っているのか当時の僕には理解ができなかったのですが、ものすごく笑顔で楽しそうに授業をしていたんです。それを見ていたときにもしかして、難しいことだけど理解できたら、この先生みたいにいつもニコニコできるんじゃないかという風に思いまして、それから影響を受けて数学をやっていました。それでやっていて、わからないことがわかったときがやっぱりおもしろいんです。
一個わかったらまたわからないことが出てきて、それをわかりたいからもっと勉強するという風にやってるうちに現在にいたったという感じです。
⑦今は楽しく数学ができていますか?
そうですね。今までずーっと一生懸命走ってきたので、まだちょっとわかりませんが、将来的には楽しめればいいなと思っています。
⑧休日は何をしていますか?
基本的には数学をやっています。なぜかというと、自分の指導教官だった先生の研究室に土日に訪問した時に、ものすごく偉い先生なのに、土日も研究室に来て研究してる姿を見てそうあるべきだなと思って、真似をしています。他で言うならば北海道のおいしいものを探してます。
⑨数学に入りたいなと思っている学生に向けて何かアドバイスはありますか?
私は数学がわからない学生だったと思います。多分、何がわからないのかがわからなかったんだと思います。
単に勉強の仕方がわかってなかったんだと思うんですけど。高校時代はテクニックを覚えてそれを使うというのが数学だったと思うのですが、大学はちゃんと定義を理解して、そこから何かを進めるというやり方なのでギャップを感じました。
アドバイスするならば理解できるまでひたすらやるというとこです。それでどうしてもわからなかったら、わかっている人に聞くっていうのが一番いいんじゃないかと思います。
⑩大学一年生に向けて何かメッセージはありますか?
簡単に言うなら、数学は楽しいですということです。数学に少しでも興味があるんだったら実際にやってみるといいと思います。そうすると僕もそうでしたが現在とても楽しんでいるので。
2015年(平成27年) 9月インタビュー実施