誰も知らない新しい香りを求めて

有機化学第二研究室 谷野 圭持 教授,鈴木 孝洋 准教授

「香料」は私たちにとって身近な存在です。食べ物,洗剤や化粧品など,あらゆるものに香料が含まれています。例えば,バニラやバラを使った天然の香料は原料を蒸留したり絞ったりして作りますが,手間がかかるわりに量も少なく,高価なものになりがちです。それに対して合成香料であれば安い費用で多くの人に届けることができます。

私たちは香りの素となる「有機化合物」を小川香料株式会社と一緒に研究しています。「こういう構造の化合物を作ると,こんな香りがするのではないか?」という仮説を立て,実験室で作ってみます。そして出来上がった化合物の香りを実際に嗅いでみます。香りが薄すぎたり,ありふれていたりして,これだ!と思えないことはよくあります。また時には,予想とは反対に悪臭に近くなることもあります。必ずしも予想通りにならないところが実はとても面白かったりもします。香水は何種類もの化合物の組み合わせで生み出されますが,いやな香りを隠し味的に混ぜると香り全体が引き立ち,他にはない個性が出ることがあるのです。作る化合物すべてが良い香りである必要がないところも,この共同研究の奥深いところです。

化合物を作るためには有機合成技術が必須です。学生はこの技術を身につけて研究を進めていきます。医薬品や農薬,液晶などの機能性材料も有機合成されているので,この技術を持った学生は卒業後,様々な分野で社会に貢献する人材として活躍しています。

構造が似ていても,原子の位置が1つでも違うと別の香りになる

※肩書,所属,学年は発表当時のものです

理学部広報誌「Sci」第2号(2018年1月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

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