可能性を自分で拡げる

宮﨑凜さん(信越化学工業株式会社所属)

数学が好きで成績も良かったため高校で理系を選びました。化学や物理の授業が始まると、数式や方程式が、理科の「現象」に形を変えました。学ぶたびに、世界の見え方が変わるのが楽しく、どんどんハマっていき、大学進学時も理学部を選びました。

北大の一年次は全学教育で、化学はもちろん分野問わず興味を持った授業を広く選択できます。就職など、将来については深く考えていなかった私にとって、選択肢が多いのは魅力的で、貴重でした。授業の傍ら、バスケ部で週5回練習をこなす、バスケ漬けの日々を過ごしました。しかし、片方に傾くのは自分の中で嫌だったので、授業を休んだり手を抜くことはせず、文武両道を心掛けました。

その甲斐あって、学部3年の研究室配属では希望が叶いました。ただ、やりたい研究は定まっていなかったので「自分が面白そうだと思うことをやろう」と考え、プラズモン現象を扱う分析化学研究室(上野貢生教授)を選びました。研究室は風通しがよい雰囲気で、自他問わず、新しい発見をしたり、面白い現象を見つけたり、そのような瞬間を何度か経験することができました(勿論、そこに至るまでに多くの失敗をしていますが)。研究と並行してバスケも続け、修士課程の間は社会人チームに所属し、全国大会に出場したのもよい思い出の一つです。

卒業後は、信越化学工業に入社しました。材料開発を主戦場とするため、身の回りで信越の製品を見ることは少ないのですが、数多の工業製品を材料から支えています。陰で人を支える、広い場面で役に立つ、実直で誠実な社風に惹かれて入社を決めました。

現在は、半導体加工の基幹技術であるフォトレジストの開発をしています。顧客の要望に応えるべく、新規材料の創出や紹介を行っています。苦労もありますが、周りとコミュニケーションをとり、自分なりに試行錯誤して毎日楽しんでいます。休日はバスケをはじめ自分のやりたいことを存分に満喫しています。

ここまで本業(授業・研究・仕事)と趣味(バスケ)の紹介をしてきましたが、両立することの難しさを歳を重ねるごとに実感します。大学では、やりたいことを実現するためのスケジューリングと報連相の大切さを学びました。この2点は社会人になっても不可欠です。両立するための努力と、小さな成功を積み重ねた経験は、私にとって大きな財産となりました。

大学は、多くの選択肢を与えてくれる場所です。進路も、企業就職やアカデミックなど、沢山の道が用意されています。しかし、やりたいことを続けるには、自分で環境を創り出す努力が大切です。皆さんも、大学という環境を最大限活用して、自身の可能性を拡げ、多くのことに挑戦してください。

宮﨑 凜さん
長野県茅野市出身。2021年、理学部化学科卒業。2023年、大学院総合化学院総合化学専攻 修士課程修了。現在、信越化学工業株式会社所属。

理学部広報誌「彩」第12号(2025年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書、所属は広報誌発行当時のものです。

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