まだまだ知られていない海の生物すべての生物に名前を!

多様性生物学講座Ⅰ 柁原 宏 准教授

現在,分類学的には35動物門が認められています。その動物門の生物はほとんど海にいて,そのほとんどが海産無脊椎動物です。しかし,海の底など,まだ調査されていないところがまだまだ多く,そこにしかいない生物もたくさんいるはずです。海の生き物はとても多様で,名前すら付けられていないものがほとんどです。そこで,人間の都合で生物たちが地球上からいなくなってしまう前に名前のないものに名前を与え,Scienceという舞台の上に乗せてあげるのが私たちの研究です。

研究の対象は「ひも形動物」です。今,発見されているのは1200種ほど。長いものから短い種類のものまでいますが,その中でも特定の種類しか巨大になりません。日本で確認されたものの中では7mという記録があります。

私たちの今までの研究では「これは何だろう?→調べる→系統がわかる→嬉しい」という流れでしたが,ある日,「なぜ長い?なぜ短い?」という疑問に気付き,それを説明できそうな方法も考えつきました。「準備ができている人の心にチャンスが訪れる」という言葉を,身をもって感じ,その実証に取り組んでいます。

分類学のいいところは発見の喜びを意外と身近なところで感じられることです。発見したものが新種であれば,全人類の知識の最先端に立つことができるのも魅力です。生物の進化のメカニズムや生態学と親和性が高く,すべての生物学の出発点となるのが,分類学です。

自然科学に従事している私たちは,日々,未知の領域を開拓し,既知の領域を広げています。その既知の領域を広げるためのモチベーションは「好奇心」。私たちは海産無脊椎動物の分類を好奇心をもってこれからも進めていきたいと考えています。

1mほどになるカスリヒモムシ

理学部広報誌「Sci」第1号(2017年8月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書,所属,学年は発表当時のものです。

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