【生物科学科高分子機能学】一人一人と面談し、 手厚いサポートをしています

黒川 孝幸 教授(令和3年度 生物科学科/高分子機能学 学科長)

新しい日常をつくる~ 学生の学びを守る理学の挑戦 ~
誰もが経験したことのないコロナ禍で、大学への入構規制も行われ、これまでの教育体系の変更を迫られた2 年間。学びの機会を確保するために、どのような取り組みを行い、またアフターコロナに向けてどのような新しい日常を作っていくのか。学びを止めない理学部各学科の挑戦を紹介します。

高分子機能学とは

高分子機能学は分野横断的に生き物を理解しようとする学問です。例えば生き物を構成する物質を、物理学的手法(X線回折など)で計測したり、化学的手法で作り替えて別の分子と比較しその機能を明らかにしたり、数学的手法を用いて理解したりします。そのため授業や実験では、研究に必要な基礎知識として、物理・化学・生物・数学など多くを学びます。

実験はやはり対面で

コロナ禍では授業をオンライン化しました。教員全員がオンライン授業は未経験でしたので、教員間で模索し経験と技術を共有してきました。オンライン授業では、学生のリアクションが分かりにくくなります。そこで授業中に少人数のグループに分け、話し合いや教え合う時間を設定する工夫をしています。コロナ以前の講義スタイルと比べ、より学生間のコミュニケーションを重視しました。

一方で、実験はやはり自分で手を動かすことが必須だと感じています。そこで、対面の学生実験を実現するために、一回の授業に対して人数制限を設けたり、フェイスシールドを準備したり感染防止対策を整えました。さらに事前に実験動画をオンデマンドで視聴し予習することで、実験室の滞在時間を短くしています。

また、対面実験とオンライン授業を併用するために、履修する学生全員の生活環境や通学時間を調べ、誰がいつ大学で実験と授業を受けるのか人数調整や教室確保などの対応をしました。いろいろな状況を考え、どんな学生に対しても学習・教育できるように努力しています。

個人面談で手厚いサポート

私たちの学科ではコロナ禍以前から、配属された2年生全員と担任教員が一人一人面談をしています。困っていることや教員に知っておいてほしいことはないか、履修状況は大丈夫か、など確認しています。実際に、事務と連携し持病がある学生が休憩室を利用できるようにしました。できるかぎりの個別対応を心がけています。

研究発表はオンラインが有効

3年生後期に研究室に配属されると、年に数回研究報告会があります。コロナ禍でオンライン開催となりましたが、目の前の画面でスライドを各自見られるため、以前の一同に会して前方の大きなスクリーンを見る報告会よりも理解が深まることが分かりました。今後もオンラインでの研究報告会を続けていこうと考えています。

得意分野を活かして

高分子研究は世の中を大きく変えてきました。プラスチックや食品、衣類など、身の回りで目に見えるものは物質も生き物もほとんど高分子で構成されています。まさに高分子まみれです。高分子機能学は生き物の性質を理解し、生き物の謎を解き明かすことを目指しています。数学・物理・化学・生物の知識が必要ですが、全てが得意である必要はありません。何か一つでも得意分野があれば、それを足がかりにアプローチし、学びの範囲を広げればいいのです。生き物の不思議が一つでも解き明かせれば楽しいですね。


理学部広報誌「彩」第7号(2022年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書、所属は、広報誌発行当時のものです。

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