理学部の逸品たち建物、研究室、絵画、俳句?

北海道大学総合博物館は2016(平成28)年にリニューアルしました。理学部卒 の鈴木章名誉教授によるノーベル化学賞研究、圦本尚義教授らによる隕石から太陽系の起源を探る研究など、北大の今をワンストップで確認できます。博物館がある我らが理学部本館は1929(昭和4)年にできた北海道で最初の本格的鉄筋コンクリート建築です。ここには積み重ねられた 歴史の証拠が多く残っています。

1936(昭和11)年に世界初の人工雪を実現した中谷宇吉郎教授の研究室は1階に残されています(現在は非公開)。また民間資金による本邦初の寄付講座とみられる「山下生化学研究室」の来歴銘板は 博物館2階の見学順路から見られます。寄付したアラビア石油の創始者・山下太郎の名を冠し第2次世界大戦直前の1938 (昭和13)年に設置されました。「時局に鑑み」との記述は当時の石油不足を生々しくうかがわせます。

山下生化学研究室の来歴看板

また理学部生活を想像させる絵画なども残されています。理学部の初代物理学教授である池田芳郎によるポプラ並木の油絵*1や、開拓民出身の画家・坂本直行*2 の油絵*3は、会議室などにさりげなく飾られています。特に俳人の高濱虚子が1948(昭和23)年に北大理学部長を訪問した時の挨拶句額は注目です。高濱自らの揮竃で「理学部は薫風楡の大樹蔭」とあり、 北大理学部ならではの師弟関係を来訪者 が見た貴重な史料でしょう。*4

同窓会ホームページには2012(平成24)年と1982(昭和57)年の理学部の航空写真を載せています。理学部の歴史を知って建物を歩くと、先輩たちの学びや研究への思いを感じられるでしょう。

 

(文:北海道大学理学部同窓会 事務局長 竹田定好)


* 1 筆者仮題「ポプラ並木」本館2F同窓会室
* 2 1927(昭和2)年に北大農学実科卒業、祖父の叔父に坂本龍馬がいる
* 3 「初冬の黒岳」本館2F大会議室
* 4 理学研究院長室。来歴の詳細は理学部同窓会誌 2015年度版No.57参照

※タイトルの写真は1982年に撮影された理学部全景(航空写真)

 

理学部広報誌「Sci」第1号(2017年8月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

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