野外調査と試料分析で火山の噴火を予測

地球惑星システム科学講座 岩石学・火山研究グループ 中川光弘教授

地球惑星科学科で学べる分野は,地球深部から大陸,海洋,大気,さらに惑星,宇宙という空間的な広がりだけでなく,その過去と未来も対象としています。その中で私たちはマグマや火山について研究をしています。2016(平成28)年度から始まった国の「次世代火山研究・人材育成プロジェクト」に参加し,火山噴火の予測技術開発分野の統括大学として研究活動と火山研究人材の育成を行っています。

火山噴火を予測するためには,それぞれの火山がいつ・どのような噴火を起こしたのかという,噴火履歴を知ることが基本となります。そのために実際に現地へ行って露出している地層の観察を行うのはもちろんですが,ボーリング掘削やトレンチ調査でより詳細に調べます。そして,野外での調査で得た噴火年代の明らかな試料を,最先端の分析機器を使って,物質科学的・地球化学的に調べます。そして個々の火山の深部でのマグマの生成や変化,そして噴火機構を明らかにしてゆきます。これらの調査・分析・解析を多くの火山で積み重ねることで,中長期な活動予測,つまり噴火の規模や様式(水蒸気噴火やマグマ噴火)を予測することが可能になっていきます。

私たちのグループではこのように野外の研究調査活動,屋内での試料分析の両方の研究をすることができます。これは他の大学にはない,北大理学部地球惑星科学ならではの大きな特徴です。噴火は地球の内部を垣間見ることができ,地球が生きていることを実感できる現象です。その噴火を目撃するだけでなく,実際に噴出した岩石を手に取って見ることで地球の内部やその歴史を知ることができます。我々は噴火やマグマを研究することで,自らの知的好奇心を満足させるだけでなく,火山活動予測により火山災害の軽減を目指すことで,国民の安全な生活に貢献していきたいと考えています。

フィールドに出ての火山観測(旭岳)
マシンでの分析結果も重要(中川教授)

理学部広報誌「Sci」第1号(2017年8月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書,所属,学年は発表当時のものです。

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