むかわ竜が新属・新種と認められ学名がついたことで、ますます注目を浴びた小林快次 教授の研究室に所属する鈴木さん。修士課程では白亜紀後期のモンゴルの地層から発見されたティラノサウルス類の恐竜アレクトロサウルスの調査研究に取組みました。彼女が北海道大学で学んだこととは―。
北大理学部を目指したきっかけ
私と化石との出会いは、小学校6年生の修学旅行で博物館を訪れたときです。何万年、何億年も前に生きていた生き物の痕跡が残っている事に感動し、魅了されたのです。一時は全く別の進路を考えていたこともありましたが、母の「本当は何がしたいの?」という言葉をきっかけに、大学で古生物学を学びたい気持ちが高まってきました。高校3年生の春、思い切って古生物学研究の第一人者である小林快次さんにメールをしました。そのとき小林さんに「日本でも恐竜研究はできます。ぜひうちの研究室に来てください」と言われたことが北海道大学理学部への進学を目指す決め手となりました。
恐竜化石の調査研究
研究室に配属されてはじめての研究テーマは北海道芦別市で発見された、たったひとつの骨の化石(芦別標本)が「どの恐竜のどの部位か」を明らかにすることでした。はじめはなかなか手掛かりが得られず、研究が楽しいと思えない時期もありました。ですが、モンゴルの研究所で100近い数の化石を調査したことをきっかけに、恐竜の種類による骨の大きさや形の違いを比較するポイントが分かってきました。それからは、文献等から得られる情報との向き合い方も変わり、ひとつひとつの事実が明らかになっていくことに日々喜びを感じています。また、研究は多くの人の協力があって成り立っていることも学びました。小林先生はもちろん、化石を発掘した人、収蔵している博物館の人などと協働しながら研究を進めています。
科学技術コミュニケーションの学びと実践
卒業研究では先述の芦別標本がティラノサウルス類の尾椎骨であることを明らかにして、研究成果をメディア向けに発表しました。とても緊張しましたが、メディア対応の経験が豊富な小林先生から直接アドバイスを受けることができ、自分の研究を専門外の方々に伝える良い機会になりました。
また修士1年の時には、科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)を受講しました。文章を書いたり、サイエンスカフェを企画したり、実践を重ねながらサイエンスコミュニケーションを学び、人がどう受け取るかを良く考えられるようになったと思います。イベント準備などの際に受講生同士で打合せをすると、文系と理系、同じ理系でも工学と理学の人々の視点の違いに驚き、勉強になりました。CoSTEPで異分野の人達との協働を経験できたことも私の財産です。
メッセージ
大学は、想像もつかないほどたくさんのヒトやモノと出会うことの出来る場です。ぜひ皆さんも、この自然豊かな北海道大学のキャンパスで学生生活を送ってください。
※所属、学年は発表当時のものです。
学生生活で、研究することだけではなく、伝えることにも積極的にチャレンジしてきた鈴木さん。大手マスメディアへの就職が決まっているといいます。これからは、テレビなどを通して彼女が発信するサイエンスにも注目ですね。
(文:総務企画部広報課 学術国際広報担当 川本真奈美)