まだ存在していない物資を生みだし北大から世界へ発信

物理学科/固体電子物性研究室 吉田紘行助教

物性物理学の「物性」は物質の性質を意味します。物質がないと研究はできませんが,世の中にある物質の数は限られています。そこで私たちは,様々な手法を駆使して化学的に新しい物質を作り,その性質を調べています。新しい物質ができた時や,教科書に載るような面白い性質を見つけた時の喜びはひとしおで,それは新物質探索の魅力の一つです。

私たちは主に超伝導について研究しています。超伝導は物質を冷やさないと起こりません。室温で超伝導を実現できればエネルギー問題を解決できると期待されており,世界的にも盛んに研究されています。私たちは室温で超伝導になる新しい物質を世界に先駆けて見つけたいと考えています。これを実現することができれば,ノーベル物理学賞を受賞できる研究をしているのです。

物理の解明は1人では成し得ません。より良い研究には様々な専門分野のプロフェッショナルとの共同研究が重要です。私たちも多くの研究者と共同で研究を行っていて,例えが北大では電子物性物理学研究室の井原 慶彦 先生と物質の内部を見るNMRという実験をしています。大阪大学やJ-PARC,オークリッジ国立研究所などの世界中の研究者とタッグを組んで進めています。

私たちは化学を用いてまだ世の中に存在していない物資を生み出し,末だ解明されていない物理を研究しています。共同研究により世界がワクワクする物質を北大から送り出し,その性質を解き明かしていきます。

共同研究先のひとつであるNIMS(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)の高圧合成装置で新物質開発を試みる石井 裕人さん(固体電子物性研究室・博士課程1年)

理学部広報誌「Sci」第2号(2018年1月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書,所属,学年は発表当時のものです。

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