【化学科】オンライン授業のメリットを最大に! 学びの可能性が広がりました

鈴木 孝紀 教授(令和3年度 化学科 教務委員)

新しい日常をつくる~ 学生の学びを守る理学の挑戦 ~
誰もが経験したことのないコロナ禍で、大学への入構規制も行われ、これまでの教育体系の変更を迫られた2 年間。学びの機会を確保するために、どのような取り組みを行い、またアフターコロナに向けてどのような新しい日常を作っていくのか。学びを止めない理学部各学科の挑戦を紹介します。

オンラインのメリットを最大に

未曾有のコロナ禍でのオンライン授業は全教員が手探りでスタートしました。学生数も多く、必修科目や実験実習も多い化学科では、コロナ禍で半数入れ替え制の授業やZoom配信など様々な授業方法を試しました。オンライン授業をするからには、通常の授業の置き換えではなく、オンラインのメリットが最大となる授業にしたいと考えました。その結果、最もよかったのがオンデマンド方式でした。学生は録画授業を見たいときに見ることができます。先取り学習ができ、何度も復習することができます。オンデマンド方式は、学生にとって受けやすく教育効果も高いと考えています。

ひとりぼっちにさせない!

オンデマンド方式で重要なのはその後のフォローアップです。ビデオを視聴し、小テストを受け、教員からフィードバックをもらうという流れを作りました。教員と学生の一対一のコミュニケーションを大切にするためです。

もう一点大事なのが、ひとりぼっち感を減らすことです。そこで、大学システムの授業掲示板に「視聴しました」「レポート出しました」と学生各自が報告するよう指導しました。その結果、自分ひとりじゃない、一緒に勉強している仲間がいる、という学生同士の一体感が生まれたのです。これはとてもよかった点です。

「真似る」は「学ぶ」

一方、化学科の特徴でもある実験をオンライン化して意味はあるのだろうかと当然考えました。ところが実際に実施してみると、擬似体験ができ、一定の効果があることが分かりました。さらにビデオを見ながら、例えば「薬包紙を三角に半分に折る」「天秤に乗せる」など、同じ動作を自分で実際に真似してもらうことで、理解の度合いが上がりました。まさに「真似る」は「学ぶ」です。動作を真似ることで、ビデオ視聴による学びの可能性を広げることができたと考えています。

コロナ禍をきっかけに新しい形式へ

コロナ禍でオンライン授業のメリットが分かり、今後これが理学の新しい形になればよいと思っています。オンライン授業の質を上げる試みは新しい形式の授業に挑戦するきっかけだったと言えるようにしたいです。もちろん実験は実際に手を動かして経験するのが一番ですが、状況に応じて学びを止めないことが重要です。

私たちはこれから多様な属性に対して教育を考え続けていかなければなりません。恵まれたキャンパスであり、実験や研究を行う北海道大学という場所としての存在と、オンラインで学びや体験ができるバーチャルな存在、この二面性を両立していきたいです。コロナ禍の取り組みを通して作った教育コンテンツを今後も多いに利用したいと考えています。

化学科を目指すみなさんへ

化学科ではどのような状況でも最高の教育を行うため各教員が工夫し続けています。コロナ禍だから実験が多い化学は困難なのではないかとは考えないで下さい。化学科で一緒に学び続けましょう。


理学部広報誌「彩」第7号(2022年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書、所属は、広報誌発行当時のものです。

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