自然史科学専攻

自然史科学専攻
自然史科学専攻

自然を探求する学問分野は、20世紀において分離と細分化によって著しい発達を遂げました。しかし、現在、人類が直面している地球規模の環境の変化に適切に対処するには、別々に発展してきた自然史の諸分野を現代的な形で再統合し、より包括的な形で自然を理解することが必要です。

本専攻は、地球惑星システムを様々な角度から研究する地球惑星科学者と現在と過去の様々な生物群について種の記載を担う分類学者を養成するとともに、地球環境変化のデータに基づいて、多様性が生じる原因やそのプロセスを研究する自然史科学者と、文理双方の視点を持ちながら科学的成果の実像を社会へ伝えることのできる新しい教養人の養成を目指します。

地球惑星ダイナミクス講座

本講座では、固体地球および大気海洋圏をダイナミックに変動する一つのシステムとして捉え、さまざまな時間・空間スケールを扱う基礎的な研究を行います。地球深部構造、地震、火山活動、地表水、地下水、あるいは大気・海洋の循環など地球物理学における多様なテーマに、理論や実験、データ解析、ならびに本学の特色を生かしたフィールド観測等を駆使して取り組み、地球の総合的な理解を目指します。本専攻には気象学、海洋気候学、宇宙測地学、地震学の4つの研究室があり、所属する学生は本講座の教員による充実した授業を受けながら、最先端の研究に参画することができます。

地球惑星システム科学講座

本講座は、地球科学の研究と教育をリードしつづけた80年の歴史と伝統をもっています。その中で蓄積された経験を元に、たゆまない新たな知見への探求を続けてきました。地球を岩石圏、大気、水圏、生物圏を含む相互に関連した物理的、化学的、生物学的プロセスのシステムとして捉え、現代の地球惑星科学がカバーする幅広い分野の教育を提供しています。本専攻には岩石学火山学、地球化学、地球惑星物質学、地球環境史、地球生物圏変動学、ジオテクトニクスの6つの研究室があります。

地震学火山学講座

地震や火山が、いつ、どこで、どんな規模で、どのようなメカニズムで起こるのかという問題は、私たちの生活基盤に関わる重要事であるばかりでなく、地球内部で起こっている壮大な営みを知るという地球科学の中心的課題の一端でもあります。私たちは地震・火山の活動が活発な北海道を主な研究対象として、弾性論・熱学・流体力学・電磁気学・地質学など様々なアプローチにより、国内の他大学や諸外国の研究者と共同して研究を進めています。北海道は地震・火山の活動を目の当たりにできる魅力あふれるフィールドです。みなさんがこれまで学んできた、物理学・化学・地学・数学などあらゆる知識を駆使して、地震・火山現象の解明を目指しています。

多様性生物学講座

現在の地球上にはきわめて多様な生物が見られますが、それは進化の歴史の中で種々の生物が生まれ繁栄し、あるものは滅んでいった結果です。本講座では、このような生物の系統進化の過程を明らかにし、それをもとに多様な生物群の分類体系の構築を試みています。また、どのようにして種が生じてくるのかという種分化の問題、地理的変異の成立機構、発生と再生・発生システムの進化などについても分子から形態、生態レベルまでの研究に取り組んでいます。

科学コミュニケーション講座

科学研究の成果を多くの人々に理解してもらい、研究の意義や目的についても理解を深めてもらうためのコミュニケーションが求められています。理科への興味や科学リテラシーを高める教育も求められています。他方、研究者の側も、人々が科学の研究や科学者に何を期待しているのかを理解し、社会から信頼されるために社会と対話し、社会リテラシーを高めてゆく必要があります。北海道大学大学院理学院科学コミュニケーション講座では、こうしたニーズにこたえる人材を養成することを目指し、修士課程および博士後期課程のプログラムを提供しています。科学・技術のコミュニケーションをめぐる様々な課題について、科学技術コミュニケーションや科学技術社会論、科学史、科学基礎論、博物館学、科学教育などを専門とする教員が研究指導を行います。総合研究大学の強みを生かして、科学コミュニケーションや関連分野を、広く深く学べるプログラムです。