研究者情報

渡邊 剛

講師

WATANABE Tsuyoshi

サンゴ礁に記録される地球環境変動

地球惑星科学部門 地球惑星システム科学分野

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研究テーマ

生物源炭酸塩が形成されるシステムと環境を理解する
生物源炭酸塩を用いて過去、現在、そして未来の地球環境変動を推定する
環境変化に対して生物がどのように適応/応答するか(したのか)考える

研究分野サンゴ礁地球環境学
キーワードサンゴ礁, 地球環境, 炭酸塩, 地球化学, 古環境

研究紹介

過去の地球環境を記録する媒体は古環境復元指標(Proxy)と呼ばれます。古環境復元には海底コアや氷床コア、樹木年輪などが用いられ、調べたい時代や地域、環境、現象に合わせてproxyを選ぶことができます(図1)。我々は主にproxyとして生物源炭酸塩を用いています。生物源炭酸塩とは、生物が造る炭酸カルシウムの殻や骨格を指します。サンゴの骨格や有孔虫、貝の殻は全て炭酸カルシウムで出来ています。その中でもサンゴや二枚貝は炭酸塩骨格に成長縞を観察することができ、その成長方向に沿って化学組成を分析すると、骨格を形成した当時の環境を推定することができます。サンゴ礁地球環境学研究室では、主にサンゴ礁をフィールドとして熱帯、亜熱帯域の気候および海洋環境の変動と、それに対してサンゴや二枚貝などの生物がどのように応答あるいは適応するかを理解しようとしています。

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現生のハマサンゴ群体のボーリング調査
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鹿児島県喜界島の隆起サンゴ礁地形。過去10万年間のサンゴ礁と地球環境変動を読み出すべく調査をおこなっている。
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オマーンにおける化石サンゴ礁調査の様子

代表的な研究業績

Yamazaki, A., Watanabe, T., Tsunogai, U., Iwase, F., Yamano, H. (2016) A 150-year variation of the Kuroshio transport inferred from coral nitrogen isotope signature, Paleooceanography,31.
Watanabe, T., *T. Kawamura, *A. Yamazaki, M. Murayama, and H. Yamano (2014), A 106 year monthly coral record reveals that the East Asian summer monsoon modulates winter PDO variability, Geophysical Research Letters, 41, 3609–3614.
Watanabe, T., Suzuki, A., Minobe, S., *Kawashima, T., Kameo, K., Minoshima, K., Aguilar, Y. M., Wani, R., Kawahata, H., *Sowa, K., Nagai, T., Kase, T. (2011) Permanent El Niño during the Pliocene warm period not supported by coral evidence,Nature, 471, 209-211.
Watanabe, T., Winter, A., Oba, T. (2001) Seasonal changes in sea surface temperature and salinity during the Little Ice Age in the Caribbean Sea, Marine Geology, 173, 1-4, 21-36 (The most downloaded paper in 2001)
Watanabe, T., Oba, T. (1999) Daily reconstruction of water temperature from oxygen isotopic ratios of a modern Tridacnashell with freezing microtome sampling technique, Journal of Geophysical research, 104, C9, 20667-20674
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関連産業分野

地質学, 環境科学, 理科教育, 博物学
学位博士(地球環境科学)
自己紹介

学生時代からサンゴ礁の研究を主にしているので、フィールド調査は暖かい地方のサンゴ礁だったり山岳地帯ですが、北海道の雪がある生活とのギャップを楽しんでいます。

学歴・職歴1994年 北海道大学理学部地質学鉱物学科 卒業
1996年 北海道大学大学院地球環境科学院修士課程修了
1999年 北海道大学大学院地球環境科学院 博士後期課程修了
1999-2000年 国立地質調査所 研究員
2000-2003年 国立科学博物館 日本学術振興会特別研究員
2000-2002年 オーストラリア国立大学 客員研究員
2003年 東京大学海洋研究所 産学官連携研究員
2003-2004年 フランス国立気候環境研究所 日本学術振興会海外特別研究員
2004年ー現在  北海道大学大学院大学院理学研究院 講師
2012-2013年 アーヘン工科大学地質研究所 客員研究員
2014年ー現在 喜界島サンゴ礁科学研究所 理事長
2016-2019年 ハワイ大学 客員研究員

2012年度:東北大学 非常勤講師
2013年度:大阪市立大学 非常勤講師
2015年度:広島大学 非常勤講師
所属学会日本サンゴ礁学会, 日本地球化学会, 日本地質学会, 日本古生物学会, 地球環境史学会, 日本地球惑星科学連合, 国際サンゴ礁学会, ヨーロッパ地球科学連合, アメリカ地球物理学連合
居室理学部6号館 6-9-02号室