研究者情報

加藤 徹

准教授

KATOH Toru

野生ショウジョウバエの進化の道筋を探る

生物科学部門 多様性生物学分野

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研究テーマ

ショウジョウバエ科の系統と進化に関する研究

研究分野系統学, 系統地理学, 集団遺伝学
キーワードショウジョウバエ, 進化, 生物多様性, 系統樹, DNA

研究紹介

野生ショウジョウバエを対象とし、DNAの遺伝的変異を指標に、種の系統関係や集団の歴史を探る研究を行っています。
ショウジョウバエ科のハエはこれまでに4000種以上が知られており、極地を除く世界各地に広く分布します。これらの系統関係については古くから注目され、これまで多くの研究が報告されていますが、未だに不明な点が残されています。そこで、ショウジョウバエ科の系統樹の決定版を提出するという目標のもと、海外の研究者とも協力体制を取り、ショウジョウバエの分子系統学的解析を行っています。
また、ショウジョウバエ科は、その食性も、果実食、草本食、あるいはキノコ食と多岐にわたり、さらには野外での行動、季節消長、および微小環境の選好性といった特性も種によって大きく異なります。このような野生ショウジョウバエが持つ形質の多様性に注目し、これらの形質が進化した過程を推定しようと試みています。

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野外で採集されたショウジョウバエ
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ショウジョウバエ科の中のいくつかの種
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系統樹から推定されたハワイ産ショウジョウバエの起源。ldiomyia属の系統で1回、Scaptomyza属の系統で2回、大陸からハワイへ祖先の移住があったと推定される。

代表的な研究業績

Katoh T, Izumitani HF, Yamashita S, Watada M (2017) Multiple origins of Hawaiian drosophilids: Phylogeography of Scaptomyza Hardy (Diptera: Drosophilidae). Entomological Science 20: 33-44.
Izumitani HF, Kusaka Y, Koshiikawa S, Toda MJ, Katoh T (2016) Phylogeography of the subgenus Drosophila (Diptera: Drosophilidae): Evolutionary history of faunal divergence between the Old and the New Worlds. PLoS ONE 11: e0160051.
Gao JJ, Hu YG, Toda MJ, Katoh T, Tamura K (2011) Phylogenetic relationships between Sophophora and Lordiphosa, with proposition of a hypothesis on the vicariant divergences of tropical lineages between the Old and New Worlds in the family Drosophilidae. Molecular Phylogenetics and Evolution 60: 98-107.
Katoh T, Nakaya D, Tamura K, Aotsuka T (2007) Phylogeny of the Drosophila immigrans species group (Diptera: Drosophilidae) based on Adh and Gpdh sequences. Zoological Science 24: 913-921.
Katoh T, Tamura K, Aotsuka T (2000) Phylogenetic position of the subgenus Lordiphosa of the genus Drosophila (Diptera: Drosophilidae) inferred from alcohol dehydrogenase (Adh) gene sequences. Journal of Molecular Evolution 51: 122-130.
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学位博士(理学)
所属学会日本昆虫学会, 日本動物学会, 日本進化学会, 日本遺伝学会
居室ゲノムダイナミクス研究センター西棟 GW-208