研究者情報

田中 良

助教

TANAKA Ryo

観測と計算で火山活動のからくりを解き明かす

地震火山研究観測センター 火山活動研究分野

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研究テーマ

観測と流動数値計算に基づく火山活動メカニズムの解明

研究分野火山物理学, 流体力学, 熱力学
キーワード活火山, 火山噴火予知, 火山熱水系, 火山観測

研究紹介

火山は雄大な景色や温泉といった恩恵を我々に与えてくれる一方,噴火すると脅威にもなり得ます.恩恵を最大限に受け,脅威を最小限に減らすためには,火山活動の予測をすることが大切です.噴火の始まりや推移を予測するために,多くの観測が行われ,一部の火山では,噴火前に地上でどのようなことが観測されるかが少しずつわかってきました.しかしながら,地震が増えたら,地面が膨らんだら,いつでも噴火につながるわけではありません.観測から次の活動を予測するためには,観測値を説明するための地下でのメカニズムを明らかにする必要があります.そこで,熱水流動数値計算と呼ばれる手法を用い,非噴火時に火山体内で熱水がどのように振る舞い,地上観測にどんな影響を与えるかを調べています(Fig. 1).それと同時に,熱水流動数値計算や火山活動メカニズム解明のために必要なデータを得るために,十勝岳や雌阿寒岳で観測を行なっています(Fig. 2).最近はドローンを用いた火山観測にもチャレンジしています(Fig.3).

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Fig. 1 熱水流動数値計算で得たある条件を与えてから1年間での山体の温度圧力変化(Tanaka et al., 2018)
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Fig. 2 雌阿寒岳ナカマチネシリ火口の可視画像(上)と熱赤外画像(下)(田中・他,2016)
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Fig. 3 ドローンで撮影した霧島山新燃岳の火口を埋めた溶岩(2019.3.5撮影)

代表的な研究業績

Contention between supply of hydrothermal fluid and conduit obstruction: Inferences from numerical simulations, R. Tanaka,, T. Hashimoto, N Matsushima, T. Ishido Earth Planets Space, 70:72 (2018).
Permeability-Control on Volcanic Hydrothermal System: Case Study for Mt. Tokachidake, Japan, Based on Numerical Simulation and Field Observation, R. Tanaka, T. Hashimoto, N Matsushima, T. Ishido, Earth Planets Space, 69:39 (2017).
Transition in eruption style during the 2011 eruption of Shinmoe-dake, in the Kirishima volcanic group: implications from a steady conduit flow model, R. Tanaka, T. Hashimoto, Earth Planets Space, 65, 645-655 (2013).
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学位博士(理学)
自己紹介

埼玉県出身ですが,東京・函館・神戸・対馬・沖縄に住んでいたこともあります.高校まではサッカー部,大学からはアメフト部(北大Biggreen)でした.現在は生涯スポーツを探してヨガやボルダリングにハマっています.

学歴・職歴2012年 北海道大学理学部地球惑星科学科 卒業
2014年 北海道大学大学院理学院自然史科学専攻修士課程終了
2017年 北海道大学大学院理学院自然史科学専攻博士後期課程修了
2017-2019年 北海道大学研究員
2019年-  現職
所属学会日本火山学会
居室理学部4号館 4-312号室

地震火山研究観測センター 火山活動研究分野

田中 良

助教

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研究者になったきっかけは何ですか?

高校ではサッカー部、大学ではアメフト部と部活に没頭し、あまり将来のことを考えずに過ごしていました。学部3年時に「地球計測実習」という実習で火山に出会い、その雄大さに魅了されたのが最初のきっかけです。研究室に配属され、火山の恩恵である温泉や美味しいもの、お酒も味わいながら、謎多き火山を研究することに次第に魅了されていきました。さらに、初めてポスター発表した学会で、研究して人と議論することの楽しさを感じ、研究者を志すことにしました。

有珠山銀沼火口でのドローンによる一枚。火山に出会った地球計測実習の担当者として、ドローンを用いた火山観測実習を行なっています。
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研究室の自慢を教えてください。

まず、学生数とスタッフの数が多いこと、それぞれが地震・火山・津波という幅広い対象に興味を持ち、一緒に研究活動を行っていることです。学部4年生から博士課程までの学生が約20人所属しており、教員・技術職員などスタッフも20人あまりが所属しています。人数が多いため活気があり、幅広い議論をすることができます。

また、フィールドワークが主な研究手法であるため、北海道内のみならず、国内・海外の様々なところに行くことができます。私もアラスカやカムチャッカ半島に行く機会があり、なかなか味わえないような貴重な経験をすることができました。

カムチャッカ、アバチャ山。
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得意なこと、⼤好きなこと、趣味、⽇課を教えてください。

ベドリントンテリアという少し珍しい犬種の愛犬との触れ合いが趣味です。ほぼ毎週末、犬を連れてドッグランに出かけています。また、できるだけ長く自分で火山に登って研究をするために、ランニングも始めました。主に5–10 km程度を走っていますが、いつか100 kmのウルトラマラソンにチャレンジしたいと思っています。