研究者情報

髙橋 浩晃

教授

TAKAHASHI Hiroaki

地震火山現象の解明とその減災

地震火山研究観測センター 地震観測研究分野

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研究テーマ

地震や火山活動とそれを支配する広域テクトニクスを観測データから明らかにする。

研究分野地震学, 火山学, 測地学, 自然災害科学
キーワード地震活動, 火山活動, 地殻変動, プレート運動, 地熱資源, 重力, アジア北東

研究紹介

北海道の太平洋沿岸では超巨大地震の発生が切迫している。海底に地殻変動を測定する機器を設置するなど総合的な観測を実施し、プレート境界でのひずみ蓄積を明らかにするとともに、地域防災力の向上に向けた取り組みを進めている。また、内陸地震の発生しやすさを評価する手法の検討を行っている。
北海道の日本海側で発生する大地震は、大陸プレートが東進して北海道に衝突することが原因と考えられている。ロシアや中国の研究機関と協力し、アジア北東地域のプレート運動を明らかにする国際共同研究を実施している。
北海道から千島列島、カムチャツカ半島に至る北西太平洋縁辺には、活動的な火山が数多く存在している。火山活動を地殻変動や重力変化で捉える観測を行っている。屈斜路カルデラでの観測から、地震と火山の相互作用の研究を進めている。また、地熱資源評価を行うための基礎的調査への協力も行っている。

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ロシア・カムチャツカでのヘリコプターによる地震観測の様子。
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十勝岳火口でのGNSSによる地殻変動観測
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ロシア・カムチャツカの火山観測用ヒュッテ。

代表的な研究業績

The 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake and its Aftermath, H. Takahashi and R. Kimura, Journal of Disaster Reseach, 14, 2019.
Implications of Seismic Velocity Structure at the Junction of Kuril‐Northeastern Japan Arcs on Active Shallow Seismicity and Deep Low‐Frequency Earthquakes, T. Shiina, H. Takahashi, T. Okada and T. Matsuzawa, Journal of Geophysical Research, 123, 2018.
Analysis of the far-field crustal displacements caused by the 2011 Great Tohoku earthquake inferred from continuous GPS observations, N. V. Shestakov, H. Takahashi, M. Ohzono, A. S. Prytkov, V. G. Bykov, M. D. Gerasimenko, M.a N. Luneva, G. N. Gerasimov, A. G. Kolomiets, V. A. Bormotov, N. F. Vasilenko, J. Baek, P. H. Park, M. A. Serov, Tectonophysics, 524-525, 76-86, 2012.
Volcanic strain change prior to an earthquake swarm observed by groundwater level sensors in Meakan-dake, H. Takahashi, T. Shibara, T. Yamaguchi, R. Ikeda, N. Okazaki, F. Akita, Journal of Volcanology and geothermal researches, 215-216, 1-7, 2012.
Static strain and stress changes in eastern Japan due to the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake, as derived from GPS data, H. Takahashi, Earth Planets Space, 63:42, 2011.

関連産業分野

地下資源エネルギー, 地質防災コンサルタント
学位博士(理学)
学歴・職歴1994年 北海道大学理学部地球物理学科 卒業
1996年 北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻修士課程修了
1998年 北海道大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻博士後期課程修了
1998-2007年 北海道大学理学研究科附属地震火山研究観測センター 助手
2001-2012年 米国ハワイ大学地球物理惑星学研究所 客員研究員
2007-2017年 北海道大学理学研究院附属地震火山研究観測センター 准教授
2010-2013年 東京大学地震研究所 客員准教授
2017年- 北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター 教授
2018年- 中国地震局地震予測研究所 客員教授
所属学会日本地震学会, 日本測地学会, 日本火山学会, 日本温泉科学会
居室理学研究院4号館

地震火山研究観測センター 地震観測研究分野

髙橋 浩晃

教授

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研究を通して叶えたい夢は何ですか?

地震や津波、火山噴火の災害軽減です。私は、突然の自然災害で命を落とし、また、被災後の生活で困窮する姿を多く見てきました。自然災害が多発する日本で皆さんが安心して楽しく生活を送るには、自然災害のリスクを回避できる社会システムが必要です。地球科学の研究は、過去の現象を明らかにし、未来を予測する手がかりをもたらします。いま、北海道の太平洋沿岸では、400年ぶりの超巨大地震と巨大津波の発生が切迫しています。しかし、地殻の複雑な破壊現象である地震は、確率的な現象であり、決定論的に予知することは出来ません。その中で、どうすれば地震の揺れや津波の被害を減らすことが出来るのかを考えています。これは、理学だけでは解決できない課題であり、工学や社会科学など他の学術分野と、社会システム機構である行政や報道機関などとの連携が必要です。

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挑戦されている大きなプロジェクトを紹介してください。

日本列島は、東アジアの広域的な変動帯の一部であり、その変動は周辺のプレートが運動することで発生しています。日本列島が、なぜ、いまのように形になったのか、どうして日本海側や内陸でも地震が発生するのかなど、日本列島の地殻変動のフレームワークを解き明かすには、その外枠となる東アジア全体の変動を捉える必要があります。インド亜大陸のヒマラヤでの衝突に始まり、中国の内陸部を変形させ、バイカル湖を拡大させ、最後は日本列島の太平洋の海溝で終焉します。ロシアや中国の研究者と、東アジアの「いま」の動きを明らかにする国際共同研究を行っています。

千島海溝南部の超巨大地震調査のために海底に設置された海底地殻変動基準局装置
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研究室の自慢を教えてください。

私が所属する研究観測センターでは、北海道内に地震計や地殻変動の観測点を数十点設置して、地震や火山の観測を行っています。地震の観測点は、根室やえりも、函館など、道内をカバーしており、データは札幌キャンパスまでリアルタイムに送られています。また、気象庁など関係機関の地震観測データもリアルタイムに受信しています。地震や火山を知るためには、その信号である地震波や、地殻のひずみの状態を捉えることから始まります。そのためには、フィールドでの観測が欠かせません。データを得るため、十勝岳や雌阿寒岳などの活火山に機材を背負って登っています。北海道内など国内をはじめ、ロシアや中国などいろいろな場所に行って観測を行っています。

ロシア・カムチャツカ半島にあるユーラシア大陸最高峰の活火山であるクルチェフスコイ(4750m)での観測風景