研究者情報

古屋 正人

教授

FURUYA Masato

宇宙測地学による新しい地球惑星科学

地球惑星科学部門 地球惑星ダイナミクス分野

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研究テーマ

先端的な宇宙測地学の手法で得られる「形」「重力」「回転」の観測データから、
従来の〇〇学の枠組みには留まらない新しい地球惑星科学を創成

研究分野測地学, 地震学, 火山学, 気象学, 雪氷学
キーワード宇宙測地学, 地球回転, 重力, 地殻変動, 地震, 活火山, 氷河, 永久凍土, 極端気象, 電離層, InSAR, 合成開口レーダー

研究紹介

地球の「形」「重力」「回転」は測地学 の三本柱と言われています。現代的な宇 宙測地学の手法は、地震火山活動などに伴う固体地球物理的な「形」の変動に留 まらず、氷河流動速度の変化や永久凍土 の融解に伴う地盤変動と言った地球温暖 化に伴う「形」の変化も観測対象にして います。また「形」が変わってモノが動けば質量分布や角運動量分布も変化して 「重力」や「回転」にも変化が現れます。 北大に来てからは、InSARを使って地震に伴う地殻変動、山岳氷河の流動速度の時空間変化、集中豪雨時の水蒸気分布の 検出、電離層擾乱のマッピングなどを行っています。特定の地域に限定せず、北極圏から赤道域まで、全世界中を研究対象にしています。
 もともとは大気と海洋の角運動量変化による地球回転変動(極運動)で学位を取得しました。地球回転変動データだけではなく、大気水圏のデータも当時に比べて高精度かつ長期に得られており、新しいチャンスがあると思っています。

代表的な研究業績

Yanagiya, K., Furuya, M., Danilov. P. and G. Iwahana, Transient Freeze-Thaw Deformation Responses to the 2018 and 2019 Fires near Batagaika Megaslump, Northeast Siberia, J. Geophys. Res., Earth surface, 2023
Furuya, M. and F. Matsumoto, Post-seismic to Co-seismic Moment Ratios for the 2016 Moderate Earthquakes along Chaman Fault , Geophys. Res. Lett. 2022,
Himematsu, Y., and M. Furuya, Coseismic and Postseismic Crustal Deformation Associated With the 2016 Kumamoto Earthquake Sequence Revealed by PALSAR-2 Pixel Tracking and InSAR, Earth Space Science, 2020.
Yanagiya, K., and M. Furuya, Post-wildfire surface deformation near Batagay, Eastern Siberia, detected by L-band and C-band InSAR, J. Geophys. Res., Earth Surface., 2020.
Himematsu, Y., F. Sigmundsson, and M. Furuya, Icecap and Subglacial Crustal Deformation Inferred From SAR Pixel Tracking: The 2014 Dike Intrusion Episode in the Bardarbunga Volcanic System, Iceland, J. Geophys. Res., Solid Earth., 2019.
学位博士(理学)
自己紹介

新潟出身です。

学歴・職歴1997年3月 東京大学 理学系研究科 地球惑星物理学専攻博士後期課程修了
1999年4月 東京大学地震研究所助手・助教
2003年8月-2005年7月 コロラド大学物理学科 客員助教授(文部科学省長期在外研究員/CIRES Visiting Fellow)
2007年10月 北海道大学大学院理学研究院准教授
2012年1月- 現職
所属学会日本測地学会, 日本地震学会, 日本火山学会, 日本気象学会, 日本雪氷学会, 日本地球惑星科学連合, American Geophysical Union, International Glaciological Society
居室理学部8号館 8-316号室

地球惑星科学部門 地球惑星ダイナミクス分野

古屋 正人

教授

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研究を通して叶えたい夢は何ですか?

将来も生き残るようなオリジナルな観測データや理論を生み出すことです。

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いま没頭している研究テーマはなんですか?

衛星搭載レーダーで得られた高空間分解能画像の解析を通じて、今まで見ることが出来なかった現象を調べたり、その結果を理論的に解釈する研究をしています。

地球物理的な観測では、従来は人間が設置した観測点網でその地域の地盤変動など各種データを取得してきました。しかし日本国内ならまだしも(実は日本国内でも)、世界を見ればアクセス自体が困難な場所が圧倒的に多いのです。近隣住民への直接的な災害を及ぼすような現象は、伝統的な観測手法やデータでよく調べられてきましたが、遠隔地であっても人知れずに興味深い重要な現象は起きていることがレーダー画像の解析から分かってきました。

具体的には標高5000mを超えるような山岳氷河の流速分布、中東地域にある断層で起きている地殻変動、シベリアの森林火災の跡で数年も続く地盤沈下などなどが、われわれのグループから発見されました。また、陸上以外でも、従来ならば日本でも4箇所でしか行われていなかった電離層観測も、このレーダー画像の解析を通じて面的に行うことができます。

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挑戦されている大きなプロジェクトを紹介してください。

個人的なプロジェクトではありませんが、前述のレーダー画像はJAXAのALOS(Advanced Land Observation Satellite)シリーズという衛星で得られたもので、現在は2014年に打ち上がった「だいち2号」が運用されています。その後継機(「だいち4号」)が2021年に打ち上げの予定で、私もそのプロジェクトに参加しています。ちなみに、だいち3号は光学画像衛星でレーダー衛星ではありません。