北海道大学札幌キャンパスの中央部に黄色っぽいレンガの重厚な建物があります。現在は総合博物館となっていますが、 1929(昭和4)年11月竣工の北大理学部本館です。モダーン ・ ゴシック風で北大最古の鉄筋コンクリ ー ト建築です。 建築後87年を経た今も、中央部と南北両端の階段と手すりは今も当時のままの分厚い木製の建材が残っており、壁に貼られたベージュの石の薄片もそのままです。 また、博物館応接室は、当時の理学部長室の建築仕様がほぼそのまま使われています。
ところで、 あなたは、 「アインシュタイン・ ドーム」をご存知でしょうか?
理学部本館中央部の3階まで吹き抜けの白天井ドームがそう呼ばれています。命名などの由来は不明なのですが、1935年当時の堀健夫教授(分光学)がフランス郊外のポツダムにあるアインシュタイン塔(1924年建設)を想起して呼び広めた可能性が高いとのことです。
ドーム3階の東南西北の壁に、果物(くだもの)、向日葵(ひまわり)、蝙蝠( こうもり)、梟(ふくろう)の陶板製レリーフがあり、それぞれに「1929」の製作年とともにMATIN(朝)、MIDI(昼)、SOIR(夕)、NUIT(夜)の刻印があります。
昼夜を分かたず教育 ・ 研究に励もうという理学部開学(1930年4月)当時の関係者の心意気を示すものとして伝えられています。
博物館を訪れることがあったら、ぜひ、アインシュタイン・ドームとレリーフを見に3階を訪れてみてください。何か心に響くものがあることでしょう。
(文:北海道大学理学部同窓会 事務局長 竹田定好)
理学部広報誌「Sci」第0号(2017年3月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物