佐々木 創さん(学部4年)
数学者の書いた本に載っていた「数学は美しい」との言葉の意味を知りたくて数学科に入りました。数学が美しく見えるレベルまで勉強してみようと思ったのです。
数学の論理的な部分が苦手な人が多いようですが,数学が美しく見えたら人の感情が動きますよね。だから,数学の論理構造を美しく表現しようとする。例えば,複雑な事象をマンデルブロ集合として書くと感動する理解レベルがあるわけです。そして,論理的な美しさへの感動は高い可能性の実感につながります。まだ具体化できるレベルに達していませんが挑戦を続けたいです。
直接的に数学を使わなくても,難しい事柄を一般の人にわかりやすく伝えるためには数学的センスは活用できると思います。そのため,将来はセールスエンジニアになりたいと考えています。
福田 一貴さん(大学院理学院 数学専攻 修士課程2年 博士課程教育・物質化学リーディングプログラム生)
他大学の教育学部から北大の大学院に進学しました。教員になろうと教育学部に入りましたが,もっと数学を勉強したくなり大学院では数学専攻を選びました。教育学部との違いは解析や偏微分方程式といった数学内の分野ごとに複数の先生がいて,それぞれ専門の授業を開講している多様さです。また,北大理学部の数学図書室は海外の専門書が充実しており,専門のなかの超専門書まで揃っていてすごくビックリしました。
現在は偏微分方程式論を研究しています。津波,交通渋滞,生体内での物質輸送など,様々な現象が微分方程式で表せます。私は波動現象の方程式を一般化した偏微分方程式の解析を進めています。より数学に集中できる環境に来てもっと幅広く研究したくなりました。さらに博士後期課程に進み研究を続けるつもりです。
学科教員から
数学科 学科長 高岡秀夫教授
北大数学科の卒業生は様々な分野で活躍しています。これはカリキュラムで身につける論理的思考力,柔軟な思考力,豊かな発想力を発揮しているからでしょう。数学は論理的な厳密科学ですが無味乾燥な孤独な営みではありません。代数学,幾何学,解析学,応用数学などの分野を基盤に,縦横に関連した研究テーマは数学を超えて他の学問領域との共同研究にもなります。身の回りの自然現象や技術で使えるモデルやシミュレーションも数学の成果なのです。数学分野で育った人々は,理工系にとどまらず社会の多方面で活躍するポテンシャルを有しています。理論の美しさや見事さを原動力に社会にはばたきましょう。
理学部広報誌「Sci」第0号(2017年3月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物
※肩書,所属,学年は発表当時のものです。