大学とはさまざまなことを学ぶ場所

アウトブレイン・ジャパン顧問 本間 充さん

大学時代は,本当に反省ばかりです。今は社会人として,複数の企業の顧問や,大学の講師,さまざまなメディアに寄稿を行い,華やかに活躍していると思われていますが。

北海道大学に在籍した期間は,1986年4月から,1992年3月までの6年間です。当時の北大は教養学部があり,理学部数学科には,教養学部が終了した2年の後期から入りました。高校時代に好きだった学問が数学だったことが,専攻を決めた一つの理由でした。単にそれだけです。きちんと考えずに数学科に入り,案の定,つまづきます。「数学」を学問することと,「数学」を利用することに,大きな違いがあることに気が付くのです。私が数学を好きだったのは,数式を変形するのが楽しく,「数学」を利用することが得意だったからなのです。

理学部数学科の授業では,教科書を読みこなす能力も低く,数学の演習問題も最低限の提出で,なんとか単位を確保していました。なんで数学科に来たのだろうと考えるときもありました。しかし,いつしか数学を研究することの魅力に惹かれ,大学院に進みました。でも大学院時代にも,よく数学の研究につまづき,無断欠席するようなこともありましたが,なんとか修士課程を修了することができました。本当に数学の学生としては,褒められた存在ではなかったのです。

そんな私でも数学科をきちんと卒業できたのは,大学は本当に良い場所だったからです。素敵な友人,そして多様な先生がいます。「学ぶこと」と「研究すること」の違いで葛藤している時にも,様々なアドバイスを,友人,先生から頂きました。時には数学教室のメンバーで「ジンパ(ジンギスカン・パーティー)」を行い,一緒に語り合いました。ジンパで数学の話をすることはなかったのですが,これからの人生について語り合いました。

大学とは,さまざまなことを学ぶ場所でしょう。自分の専攻の学問は,もちろんその柱になるものです。しかしそれ以外にも,研究者としてどう生活するか。研究につまづいたら,どう乗り越えるのかなどについても学べるのです。私の理学部の在籍時間は,まさにそうでした。

現在の専門は「マーケティング」「コンサルティング」そして「数学」です。「数学と関係ない仕事に就いているのですね?」と質問されますが,いつも「いいえ,数学を使っているのです」と答えます。実際にマーケティングの仕事で「数学を利用」することもあります。そして,実は「数学を研究」した方法も活用しています。数学で学んだ「物事の論じ方」「証明の方法」も活用しているのです。

理学部では,専攻の学科以外にも,「科学研究」を基盤に学び,体験します。実は,私たちの人生や,科学と遠いと思われるビジネスにも,「科学研究」で学んだことを活用できるのではないでしょうか?まずは,理学部で様々なことに挑戦してください。そして,社会に出ても大丈夫な力を得ていることを自覚して,人生を進んでください。

本間 充さん
1990年 理学部数学科卒業 / 1992年 大学院理学研究科数学専攻修士課程修了 / アウトブレイン・ジャパン顧問 / アビームコンサルティング顧問 / マクロミル顧問 / 東京大学理学数学科客員教授 / 事業構想大学院大学客員教授

理学部広報誌「彩」第4号(2019年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書,所属,学年は広報誌掲載当時のものです。

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