好きなことを仲間と学び 本質を見抜く力を 身につける

三浦孝祐さん(東芝デバイス &ストレージ株式会社 デバイス &ストレージ研究開発センター TCAD技術開発部)

子どもの頃に父親とみたアニメ(ベタですが、ガンダムです笑)で理科が好きになり、身の回りの「どうして」や「なぜ」を調べていくうちに、物理学に興味を持つようになりました。

高校までとは違い理学部物理学科には、物理という共通の興味・関心を持つ人がたくさん集まっていました。講義で体系的に物理学を学ぶだけではなく、演習や実験で友人や大学院生と議論できる場が用意されていて、仲間と一緒に物理学を楽しみながら理解できる環境が整っていました。私は実験があまり得意ではなかったのですが、友人と協力しながら装置を動かしたり、出てきたデータを見て話し合ったり貴重な経験ができました。

4年生で研究室に配属されるとき、統計物理学(ミクロからマクロを説明するための物理学)の研究室を選択しました。その前年 11月の研究室紹介イベン トで、複数の物体が複雑に絡み合うことで起こる面白い現象が身の回りに溢れていることを、研究室の先輩が楽しそうに語っていて興味を持ったためです。統計物理学研究室の大きな目標は、物理学を駆使して感染症の拡大や化学反応、生物現象を表現する簡単なモデルを構築し、理論とコンピュータ解析で本質を説明することです。研究室配属直後は、興味の赴くままに本や論文を読み、ホワイトボードの前で先輩と議論しながら、自分が本当にやりたいことを探しました。大学院時代は、選んだ研究テーマについて先生や研究室メンバーとディスカッションし、年単位の時間をかけて一つのことを極めるという貴重で実りの多い経験をしました。

また物理学科には大学院生が二人一組で学部生の演習授業を担当するGSI制度があり、後輩たちとの議論を通して、学部時代には気づかなかった学びも多く得られました。

現在は、電機メーカーで、シミュレーションを駆使して最先端化合物半導体デバイスの研究開発を行っています。大学院の研究テーマとは一見、関係なさそうですが、自然界の「なぜ」を追求する物理学に取り組むことで鍛えられた「本質を見抜く力」や、演習や 実験での友人との議論、ゼミや学会発表などを通して培われた「コミュニケーション能力」や「精神力」などが、誰にも負けない力となって今の活動を支えてくれています。

理学部では、社会で最も重要視されているこのような能力を身につけることができます。好きなことを同じにする仲間と、楽しみながら色々な経験を積んでいってください!

※GSI:大学院生講師Graduate Student Instructor 制度。海外ではほとんどの大学で行われている。日本の理系大学では北大理学部物理学科が初めて取り入れた。

三浦孝祐さん
2017年、理学部物理学科卒業/2022年、理学院物性物理学専攻博士後期課程修了。現在、東芝デバイス &ストレージ株式会社 デバイス &ストレージ研究開発センター TCAD技術開発部


理学部広報誌「彩」第10号(2024年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物

※肩書、所属は広報誌発行当時のものです。

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