【理学部100周年カウントダウン企画】三脚の原理を携えて柳町隆造先生からのメッセージ

世界的な発生生物学者の柳町隆造先生(北大理学部卒業・ハワイ大学名誉教授)が2022年7月26日に理学部を訪れました。その際に黒岩麻里教授(生物科学科・生物学)がインタビューをし、研究生活で大事なこと、未来を築く若いみなさんへのメッセージを聞きました。柳町先生の温かくも力強いお話をご覧下さい。柳町先生訪問時は93歳、その1ヶ月後には94歳のお誕生日を迎えられました。今も現役の研究者です。


※この動画は2030年に迎える理学部100周年カウントダウン企画の一環で制作しました。

柳町隆造先生の紹介

柳町先生は江別市に生まれ、札幌育ちです。北大理学部を卒業後、高校教員として働き、北大で理学博士の学位を取得されました。ハワイ大学に着任後は一貫して動物の受精について研究されています。そして、ハムスターを用いて、世界で初めて体外受精(卵子と精子をシャーレ中で受精させ、メスの子宮に戻し子を産ませる技術。ヒトでは不妊治療に用いられています)に成功。のちにケンブリッジ大学教授となるロバート・エドワーズ氏が、当時、この技術を柳町先生から学び、イギリスに持ち帰ってヒトの体外受精を成功させ、2010年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。柳町先生の技術が元になったので、柳町先生も受賞すべきではないかと世界的な声が上がり、実際に受賞候補者に挙がっていたという話もあります。しかし柳町先生は、この技術をあくまでも、生物がもつ「受精」という生命現象の解明に用いるというスタンスを貫かれました。

魚類やホヤなど、哺乳類以外の生物を使った基礎研究も続け、幅広い分野への重要な礎となる理学の精神を体現されたのです。クローンマウスの作製にも世界で初めて成功されており、現在の発生・生殖医療への柳町先生の貢献は計り知れません。

撮影は90年以上の歴史を誇る理学部本館大会議室で行われました

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