研究留学体験記「人脈作り」重要性中谷RIESプログラムを通して

生命科学院修士課程2年 井田 南加(いだ なか)さん

2020年春、中谷医工計測技術振興財団の助成事業「国際学生交流プログラム」に参加した井田 南加(いだ なか)さん(大学院生命科学院修士課程2年)のレポートを紹介します。

私は学部4年時(2020年/理学部生物科学科高分子機能学専修4年)の春に中谷医工計測技術振興財団(以下、中谷財団)の学部生向け研究体験プログラムである「中谷RIES国際学生交流プログラム」に採択されました。そして、その年の8月に渡米予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により渡米が約1年半遅れ、大学院進学後の参加となりました。今回は、プログラムの魅力と私が研究留学を通して感じたことをお伝えします。

はじめに、このプログラムはすべての理系学部の学生を対象としたプログラムです。医工計測技術分野に限らず、私のように化学を専攻している学生をはじめとして、生物学、物理学、航空宇宙工学、情報科学など、全国の大学から多様な専攻の学生が例年参加しています。研究者を志す仲間との出会いは私にとって大きな刺激になりました。

ともに渡米した同期

留学中は、参加者一人ひとりに大学院生(もしくはポスドク)のメンターが付き、手厚い指導を受けることができます。私は、創薬開発などに有用なペプチド分子を、特定の酵素を用いて合成する研究に挑戦しました。北海道大学での卒業研究とは異なる分野のテーマであったため、渡米前からメンターとオンラインミーティングを重ね、積極的に基礎知識の習得を行いました。また、私のメンターが、実験技術のスキルアップだけでなく、マネジメント能力の向上も意識するよう提案し、研究の進め方を私に一任してくれたおかげで、主体的に研究を進めることができました。

ラボメンバー(右隣:PIのAgarwal先生 前方:メンターのLuna)

留学の最終週には、中谷RIESシンポジウムが開催されます。そのシンポジウムは、ジョージア工科大学やカルフォルニア大学デービス校の先生だけでなく、アトランタの日系企業や日本国総領事館の領事の方など80人以上が参加する大きなものであり、研究成果をまとめたポスタープレゼンテーションを行います。そこでは、多様な専門分野の研究者、さらには研究者以外の参加者に対して、自身の研究を丁寧に分かりやすく説明することが求められます。私はこのシンポジウムにおいて、ありがたいことにBest Poster Presentation Awardをいただきました。この貴重な経験は、これから研究者として成長する上での財産になったと感じています。

表彰状の授与の様子 (ジョージア工科大学のHPに掲載してもらったインタビュー

留学を通して得た一番の成果は、研究者として成長する上での『人脈作り』の重要性を認識できたことです。米国では、研究者としての資質を測る要素としてリコメンデーションレター(推薦状)を重視するように、人脈を強く重んじる文化が存在します。その中でも、新しい環境に身を置いて人脈を広げるため、Ph.Dコースに進学する際は卒業した大学(学部)とは異なる大学に進学することが推奨されていることを知り、大きな衝撃を受けました。実際に留学中において、分野もバックグラウンドもさまざまな研究者/学生との出会いがありました。彼らとの交流の中で、幅広い分野に対して関心を向けるきっかけが生まれ、研究の世界が広がる感覚を得ました。目の前の研究に夢中になるあまり視野が狭くなりがちですが、積極的に人脈を広げようと意識することで、刺激を受け、視野が広がり、研究へのモチベーションを向上させることができると感じました。

最後に、全国から集まった留学の同期やメンター、ジョージア工科大学の大学院生など、このプログラムへの参加を通じた出会いは、研究者としての「人脈作り」のきっかけとなりました。帰国後は、生化学若い研究者の会に加入し、他分野の学生との活発な交流を図るなど、留学で学んだことを活かして日々研究に励んでいます。「中谷RIES国際学生交流プログラム」はどんな学生にとっても有意義なものになると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

中谷財団の留学レポートはこちら:
https://www.nakatani-foundation.jp/achievements/ries_achievements_list/

レポート:井田 南加(大学院生命科学院修士課程2年)

 

※肩書、所属、学年は2022年レポート掲載当時のものです。

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