理学界隈 ~ちょっと教えて、それぞれの“学科らしさ”~
理学部には、数学・物理学・化学・生物学・高分子機能学・地球惑星科学といった、多彩で奥行きのある分野が広がっています。それぞれの“界隈”に身を置く学生たちは、日々どのような問いと向き合い、どんな発見や葛藤を経験しているのでしょうか。研究のおもしろさ、学びの中で感じた壁や試行錯誤、同じ分野だからこそ共感しあえる瞬間……。今回は理学部を卒業し、大学院へと進学した学生のみなさんに、率直な言葉で語ってもらいました。進学を考える方にとって、理学部で学ぶ日常とその先の姿が、少し具体的に見えてくるはずです。

黒田 化学と一言で言っても、有機化学、無機化学、計算化学、生物化学な ど分野がとても幅広いです。学生実験では、フラスコや試験管で試薬を混ぜる有機合成から、X線回折による構造解析、大腸菌の培養まで、多様な分野を経験できます。
川口 どの分野にも第一線の研究者がいるので、やりたいことが見つかれば、深く追究できる環境ですよね。2年生になると午後は毎日実験で、実験好きにはたまらない日々です。
黒田 学生実験は班で取り組むので、多少実験が苦手でも川口くんみたいに得意な人が助けてくれるから安心です。さまざまな分野を一通り経験できるのは、進路を考える上でとても役立ちました。
川口 化学を学んでいると、日常の中のあちこちに〝化学〞が見えてくるんですよ。例えば、薬のアセトアミノフェンを処方されると構造が自然に思い浮かんだりします(笑)。
黒田 わかる!私はコーヒーにミルクを入れるとき、ガラス棒を使う実験の癖が出て、ついスプーンを伝わせて注いでしまいます。
川口 飛行機の窓の色が変わるボタンを押したとき「エレクトロクロミズムだ!」って気づいて、電気刺激で色が変わる技術が、実際に使われているんだ!って感動しました。
黒田 化学科の人って「律速」という言葉をよく使いますよね。
川口 たしかに。誰かの作業が遅れていると「今、ここが律速になっているね」って。責めているわけではなくて、単に化学っぽい言い方なんです。
黒田 こういう日常の〝化学あるある〞をお互い共有できるのも、化学科らしいところですね。

川口 僕は構造有機化学に興味があり、中高生のころから研究を続けてきました。その流れで、特例で学部1年生から有機化学第一研究室に所属を許可されました。これまでにない分子をつくって性質を調べるのが面白いです。4年生のときに論文がNature 誌に掲載されたときは、本当に嬉しかったですね。地道な作業も続ければ結果につながると実感しました。
黒田 私は電池材料の研究をしています。もっと長持ちする電池があったらいいなと思って、正極の材料を合成して、性能を評価しています。
川口 化学科の伝統行事といえば、研究室対抗野球大会。真剣に練習をして美香保野球場を借り切って2日間、本気で取り組みます。
黒田 他にも、卒論・修論発表会後には、その年の担当が出し物をする伝統があります。クイズ大会や楽器演奏、感謝のビデオレターなど毎年趣向を凝らした企画で盛り上がります。研究も行事も全力投球です。
川口 夏の学校という若手の会では、全国の化学分野の学生と交流できます。実験の苦労話で盛り上がったり、裏技を教えてもらったり、本当に良い経験でした。また、専門を深めると同時に、英会話はやっておくと強みになります。国際学会での発表や交流に必ず役に立ちますよ。
黒田 実験が好きな人には本当にぴったりの学科です。それと、ジェルネイルは私の研究では実験に影響しないので、おしゃれも楽しめます。
理学部広報誌「彩」第13号(2026年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物
※肩書、所属は、広報誌発行当時のものです。