キャリアカフェ2026 学部の学びのソノサキ「目に見えないものから読み解く、太古の地球」

星恒太郎さん(理学院自然史科学専攻博士後期課程2年)

理学部では、博士後期課程の学生が研究や進路などについて語る「キャリアカフェ」を開催しています。近年、高度な専門性と柔軟な発想をあわせ持つ博士人材への関心は高まっています。一方で「博士後期課程って実際どうなの?」と疑問を持つ学部生や修士課程の学生も少なくありません。

2026年6月11日は、地球惑星科学科出身で現在、が登壇しました。会場には学部生から大学院生まで多くの学生が集まりました。

恐竜への興味から始まった進路

子どもの頃から恐竜が好きで、恐竜の研究をしたいと思って北大に進学しました。ただ、実際に先輩に研究の話を聞いたり見学したりする中で、自分は骨そのものの形態を細かく扱う研究にはあまり興味が持てないと感じるようになりました。
一方で、もともと微化石と呼ばれる小さな生き物の化石や、目に見えにくい生物の形には関心がありました。高校時代の課題研究でも微化石である有孔虫(星の砂)の分布や群集を調べていたこともあり、その延長で、よりミクロな視点から地球を理解する研究に惹かれていきました。

会場の様子

授業との出会いが研究分野を決めた

学部時代にさまざまな授業を受ける中で、特に印象に残ったのが地球惑星科学科の「地球史」の講義でした。「2億5000万年前の有機物が残っている」という事実は衝撃的でしたし、それら微化石から当時の地球環境や生物進化まで推測できることに強く興味を惹かれました。そこで地球史の授業を担当していた沢田健教授の生物/有機地球化学研究室に進むことを決めました。

古海洋学という研究分野

現在私は、海底の堆積物に含まれる珪藻に由来する有機物に着目して研究しています。珪藻は海洋基礎生産の約50%を担っており、「最強の植物プランクトン」とも言われており、また重い殻のおかげで二酸化炭素を固定して速やかに海底に運ぶ役割も果たしています。そのため珪藻類が昔どのように生きていたかを調べることで地球環境への理解が深まります。

研究に使用している深海底で掘削された古代の堆積物(コア)、縞々の一つ一つに古代の海洋の情報が記録されている。

そこで、バイオマーカー(分子化石)を分析し、「当時の水温はどれくらいだったか」「どのような生物がいたのか」など、過去の海洋環境を復元します。そこから当時の海洋基礎生産の様子が分かってきます。
「過去の地球は未来の地球を見る窓」とよく言われるように、過去を知ることは、現在の気候変動を理解する上でも重要です。過去にも二酸化炭素濃度が高かった時期があります。その当時の温暖な地球環境での生態などを調べて、そこからいかにして寒冷な地球に変化していったのかが分かると、温暖化の影響を予想したり、対策を考えたりするヒントになるかもしれません。とても面白いですし、やりがいがあります。

海洋観測を行う星さん(右)。表層の水を船の上からバケツで採水している様子。
「ここ気になる!」から研究は広がる

研究を進める中で、自分の中に出てくる「ここが気になる」という感覚はとても大切だと思っています。私自身も、もともとは古代の堆積物中の有機物分析を中心に研究していましたが、「珪藻がどんなものを作っているのか」「珪藻が作った有機物がどう沈んでいくのか」などをさらに調べるために、培養実験や海洋観測など現在の生物や海洋の研究にも関わるようになりました。
こうした小さな疑問をきっかけに、研究は少しずつ広がっていきます。ぜひ興味の幅をどんどん広げていってください。

講演終了後、学部1年からの進路や研究生活についての質問に丁寧に対応していました。
会場の様子

※肩書、所属は、2026年取材当時のものです。


キャリアカフェ2026 「学部の学びのソノサキ」
理学部が開催するランチタイムセミナー形式の企画。博士後期課程の学生が自身の研究や進路について語り、学部生がお昼を食べながら気軽に参加できる場です。
https://www2.sci.hokudai.ac.jp/event/24538

Ph.Discover https://phdiscover.jp/phd/

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