キャリアカフェ2026 学部の学びのソノサキ 「メタボロミクス、 それは選択の先に見つけた宝物」

阿部 潤さん(生命科学院ソフトマター専攻博士後期課程1年)

理学部では、博士後期課程の学生が研究や進路などについて語る「キャリアカフェ」を開催しています。近年、高度な専門性と柔軟な発想をあわせ持つ博士人材への関心は高まっています。一方で「博士後期課程って実際どうなの?」と疑問を持つ学部生や修士課程の学生も少なくありません。

2026年6月10日(水)は、阿部 潤さん(生物科学科(高分子機能学)卒、現在、生命科学院ソフトマター専攻博士後期課程1年)が登壇しました。会場には多くの学生が集まり、先輩の声に耳を傾けました。

メタボロミクス研究

核磁気共鳴(NMR)装置を用いて、さまざまな生体内代謝物の網羅的解析(メタボロミクス)を行っています。その中でも私は、母乳の成分が時間とともにどう変化するのか調べています。将来的には、粉ミルクなどのより適切な栄養設計につながる可能性があります。最先端の高価なNMRを使って研究できるのは、とても贅沢だと感じています。

右側のNMR装置で実際にサンプルを測定している阿部さん
大学生活は「選択の連続」

大学受験、学部生、大学院生と振り返ってみると、常に選択の連続でした。進学するか就職するか、研究室をどこにするか、修士課程の先に進むのかどうか——節目ごとに判断が求められます。
北大理学部では、80%以上の人が大学院修士課程に進学するので、当たり前のように感じてしまいますが、一般的には大学院進学は決して当たり前ではありません。そのため、「周りのみんなが行くから」という理由だけで進学を決めてしまうと、あとで辛くなる可能性もあると思います。自分が納得できる理由があるかどうかが大事です。私自身は、「研究が楽しい」と思えたことが一番の理由でした。

キャリアカフェ会場の様子
研究室選びで大事なこと

生物科学科/高分子機能学専修では、学部3年生の後期から研究室に所属します。研究室を選ぶときは、研究テーマももちろん大切ですが、私は「人」がとても大事だと考えています。指導教員の考え方や研究室の雰囲気、先輩や同級生との関係によって、研究生活の過ごしやすさは大きく変わります。そこでお勧めしたいのが、実際に研究室の先輩に話を聞くこと。学生実験のTA(Teaching Assistant、大学院生が担当している)や、研究室見学やラボ体験などを通じて、できるだけ現場の声に触れてみてください。研究の規模や設備の状況なども参考になると思います。
卒論や修論発表会、学会などに参加して学生の発表を聞くと、少し未来の自分の姿をイメージすることもできます。

博士後期課程を選ぶということ

修士課程の先、博士後期課程への進学を考える際は、「研究が楽しいと感じられるか」を改めて自身に問うてください。学生としての期間が長くなるので、その時間を前向きに過ごせるかどうかは重要です。経済面について不安を感じることもあると思いますが、最近は北海道大学EXEXフェローシップ制度など、さまざまな支援も整ってきています。思っているよりは、不安に感じる必要はないのではないかと思います。
さらに、将来のキャリアパスのイメージを持てるかどうか。北大では例えば「博士人材育成ユニット」など、キャリアパスについての相談体制も充実しています。最近は博士人材の活躍の場も幅広いと聞きます。専門分野にこだわらずに、さまざまな可能性があると思っています。

視点を増やし課題を見つける

「視点は問題に先立つ」。北海道大学大学祭の実行委員時代に、先輩から教わった言葉です。事実を問題(課題)として認識するためには、適切な評価基準となる視点が必要であるということです。進路についても同じで、専門分野の論文を読むなど、専門性を高めるだけでなく、周辺分野の若手の会・夏の学校への参加などを通して視点を増やし、研究生活と進路選択を充実させていきたいと考えています。

講演終了後には、直接質問に来る学生の姿も見られました。

※肩書、所属は、2026年取材当時のものです。


キャリアカフェ2026 「学部の学びのソノサキ」
理学部が開催するランチタイムセミナー形式の企画。博士後期課程の学生が自身の研究や進路について語り、学部生がお昼を食べながら気軽に参加できる場です。
https://www2.sci.hokudai.ac.jp/event/24538

Ph.Discover https://phdiscover.jp/phd/

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