理学界隈 ~ちょっと教えて、それぞれの“学科らしさ”~
理学部には、数学・物理学・化学・生物学・高分子機能学・地球惑星科学といった、多彩で奥行きのある分野が広がっています。それぞれの“界隈”に身を置く学生たちは、日々どのような問いと向き合い、どんな発見や葛藤を経験しているのでしょうか。研究のおもしろさ、学びの中で感じた壁や試行錯誤、同じ分野だからこそ共感しあえる瞬間……。今回は理学部を卒業し、大学院へと進学した学生のみなさんに、率直な言葉で語ってもらいました。進学を考える方にとって、理学部で学ぶ日常とその先の姿が、少し具体的に見えてくるはずです。

渡邊 生物科学科/高分子機能学専修、通称「高分子」は研究分野がとても幅広く、生命の仕組みを多角的に探究しています。生物学専修が生き物の個体を対象にすることが多いのに対して、高分子ではゲル、細胞、免疫応答や数理モデルなど、生体に関わるさまざまな研究をしています。今ある生命現象がどのような過程を経てこの結果に至ったのかを探るような学問です。
矢西 化学や物理、生物、情報科学が融合する分野で、実験と計算の両面から分子を理解し、新しい材料をつくり出したりもします。
渡邊 学部2年後期〜3年前期にある学生実験は、担当する先生の研究に即した内容なので、研究室体験の要素もあって、進路を考える上で参考になりましたね。先生との距離も近くて、研究の話を聞いたり、助言をもらったりできるのも印象的でした。
矢西 僕はソフトマター構造物性学研究室で、ゲルの内部構造を光・X線・中性子の散乱を使って解析しています。装置の自作もしていて、構造から機能を読み解くのが面白いです。研究は地道な作業の積み重ねですが、思いがけない結果が出たときの喜びは大きいですね。試行錯誤の先に、少しずつ〝見えなかった世界〞が見えてくる瞬間があります。
渡邊 私は細胞装置学研究室で、細胞分裂時に現れる「紡錘体」などの〝装置〞に注目し、細胞が持つゲノムのセット数が変わった時の細胞分裂の異常を研究しています。細胞が分裂していくのを見ると、生命が持つ秩序とダイナミズムを感じます。

矢西 学部時代は毎回授業レポートがあって、周りから見たら大変そうに見えるかもしれませんが、理解が深まるから僕はよかったと思っています。生物選択で入試を受けたから、入ってから物理が苦手で苦労しましたけど。
渡邊 学年は 40 人ほどで、みんな仲が良く、それぞれ得意分野があるので、お互いに教え合える環境です。
矢西 学科あるあると言えば、日常会話で「エントロピー高いね」とか「コンタミした!」とか言っちゃうことですね(笑)。
渡邊 「選択圧かかってる」とか「この作業が律速」もよく使うよね。「あのお店はn=3だけど美味しかった」 みたいな、統計っぽい言い回しもある(あのお店には3回しか行っていないけど美味しかったの意味)。
矢西 優秀な人を「はずれ値」と呼ぶのも定番ですね。抜きん出ているという意味で褒め言葉なんですよね。
渡邊 北キャンパスで行われる学科全体のジンパ(ジンギスカンパーティー)は、高分子ならでは。研究室ごとに焼き台や鍋を持ち寄ってそれぞれのカラーが出るからおもしろい。
矢西 研究室配属前の学部2、3年生と大学院生が交流する場になっているので、研究室の雰囲気も分かります。4年生以上にとっては同窓会のような時間です。ジンパは参加必須かな。
渡邊 高分子は女子学生も多く、また、大学院にも進学しやすい環境だと思います。ここは生き物そのものではなく、生物の中身を研究できる場所。生き物の仕組みを分子の視点で解き明かしたい人にはぴったりの環境です。生体に関わるさまざまなことを知りたい人、待っています!
理学部広報誌「彩」第13号(2026年2月発行)掲載。>理学部 広報・刊行物
※肩書、所属は、広報誌発行当時のものです。