キャリアカフェ2026 学部の学びのソノサキ「『今』を観察する物理〜1次元の探求から3Dシミュレーション〜」

中西 陽太さん(理学院 物性物理学専攻博士後期課程3年)

理学部では、博士後期課程の学生が研究や進路などについて語る「キャリアカフェ」を開催しています。近年、高度な専門性と柔軟な発想をあわせ持つ博士人材への関心は高まっています。一方で「博士後期課程って実際どうなの?」と疑問を持つ学部生や修士課程の学生も少なくありません。

2026年6月19日(金)は、中西 陽太さん(物理学科卒、現在、理学院 物性物理学専攻博士後期課程3年)が、「『今』を観察する物理〜1次元の探求から3Dシミュレーションへ〜」と題し、研究内容や博士後期課程への進学理由、将来の展望について語りました。会場には多くの学生が集まり、熱心に耳を傾けました。

低次元電子物性との出会い

元々、実験に関心があったので、研究室を選ぶ時に実験系の研究室を中心に見学に行きました。その中で最も気になったのが「低次元」電子物性研究室でした。低次元ってなに?と思い、この研究室に進学しました。
低次元というのは、電子が自由に動ける方向が制限された状態を指します。三次元的に電子が自由に動ける場合もあれば、平面内の二次元、一方向だけの一次元的に制限される場合もあります。低次元物質では、通常の三次元物質とは異なる特殊な物性が現れます。そこに強く惹かれました。

有機導体が見せる多彩な世界

私が研究している有機導体は、温度や圧力を変化させることで、物質の状態が大きく変わります。金属的な状態だけでなく、半導体的な振る舞いや絶縁体的な振る舞いを示す場合もあります。さらに、超伝導状態を示す物質も存在します。このような物性を理解することで、新たな超伝導技術の発展や、有機半導体への応用も期待されており、基礎研究の成果が将来の技術開発につながる可能性があります。

会場の様子。
2階からの立ち見もあり盛況でした。
博士課程に進んだ理由

一つは、純粋に「考えることが好き」だったからです。高校時代から、興味のあることをメモしたり写真に残したりしていました。大学で物理を学び始めると、さらに深く知りたいという気持ちが強くなりました。また、「考えている人と話すことも好き」なのも理由に挙げられます。友人や研究室の仲間と話しながら考えを深めていく時間はとても楽しく、博士後期課程にはそうした機会がより多くあると感じました。
経済的な面では、北海道大学EXEXフェローシップによる学費や研究費、生活費の支援も大きな後押しになりました。(当時は)修士課程1年の段階で支援が確定し、進学への不安を大きく減らすことができました。

将来の展望

これまでインプットしてきた膨大な知識や経験を、次は “形”としてアウトプットしたいと考えています。具体的には、就職活動を進める中で、3Dシミュレーションの分野に強い関心を持つようになりました。企業の方々と話をする中で、大学で学んだ物理の素養はもちろん、日常の観察やさまざまなことに疑問を抱いている点、博士後期課程で培った論理的思考や広い視野が、シミュレーションやエンジニアリング分野に活かせると感じ、現在は企業就職を考えています。

質疑応答の様子

「Carpe diem(カルペ・ディエム)」という言葉

好きな言葉の一つに、ラテン語の「Carpe diem(カルペ・ディエム)」があります(ディズニーのフィニアスとファーブより)。直訳すると「今日を摘み取れ」ですが、私は「今を最大限に生きて楽しむこと」と受け取っています。日常の中で気になったことを観察したり、研究に没頭したり、自分が面白いと思ったことを大切にしながら過ごすことを意識しています。

※肩書、所属は、2026年取材当時のものです。


キャリアカフェ2026 「学部の学びのソノサキ」
理学部が開催するランチタイムセミナー形式の企画。博士後期課程の学生が自身の研究や進路について語り、学部生がお昼を食べながら気軽に参加できる場です。
https://www2.sci.hokudai.ac.jp/event/24538

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