北海道大学大学院理学研究院の景山義之助教らの研究グループは,動物のように体を動かしながら泳ぐ,1mmより小さな分子ロボットを,人工的に作り出すことに成功しました。
血管のような狭い空間を自在に泳げる分子ロボットの実現は,小説や映画の中で夢見られてきた事柄です。しかし,小さな分子ロボットを自律的に泳がせるためには,科学的に難しい二つの課題を解決しなくてはなりません。一つは,変形を続けられる分子ロボットを作ることです。またもう一つは,その変形によって分子ロボットが移動できるようにすることです。景山助教らの研究グループは,2016年に「屈曲を繰り返す分子ロボット」を発表しています。本研究では,その分子ロボットを水中で泳がせることに成功しました。動物のように自分の体を自律的に動かして泳ぐ分子ロボットを実現した世界初の研究成果です。
分子ロボットが自律遊泳できることを実験的に示した本研究は,分子ロボットの新たな可能性を示すものです。例えば,血管のような狭い水路を清掃したり,狭路を遊泳することで薬物等を送達したりする「自動運転型分子ロボット」の実現可能性を高めるなど,分子ロボット開発のさらなる発展を期待させる研究成果です。
なお,本研究成果は,2021年11月27日(土)公開のSmall誌にオンライン掲載されました。
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