北海道大学大学院理学研究院の角井敬知講師らの研究グループは,小笠原諸島父島西方の水深141-152 mから,新種のウミグモ類を発見しました。
本州の約1,000 km南方に位置する小笠原諸島は,大陸などと一度も陸続きになったことのない島々の集まりです。鳥類のメグロなど多数の固有種を擁すると同時に,他地域で普通種とされる動植物群を欠くなど独自の生態系を呈しており,2011年には世界自然遺産に登録されました。
ウミグモ類は8本の歩くための肢を持った,クモに似た見た目をした海産生物です。日本近海のウミグモ類の分類学的研究は比較的よく行われており,これまでに約160種が報告されていますが,小笠原諸島周辺のウミグモ類についてはあまり研究が進んでおらず,3種が報告されるのみでした。
今回,小笠原諸島父島西方の水深141-152 mから採集されたサンプル中に,スイクチウミグモ科という日本からほとんど報告のないウミグモ類を発見しました。得られたウミグモ類について詳細な観察を行ったところ,既知の種のいずれにも該当しない特徴を有する未知の種であることが明らかになったため,新種 Pantopipetta lenis(パントピペッタ レニス, 和名:トフシスイクチウミグモ)として報告しました。
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