北海道大学大学院理学研究院化学部門の今野翔平博士,石森浩一郎教授,同研究院数学部門の行木孝夫教授は,同大学物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラムの異分野ラボビジットの成果を元に,これまで明確な基準がないまま分類されていたタンパク質の立体構造を新規に開発したネットワーク理論により客観的な指標を用いて分類することに成功しました。
研究グループは,タンパク質を構成するアミノ酸残基を点で,結合や相互作用しているアミノ酸残基を点と点をつなぐ線として捉える新たなネットワーク理論を構築し,その理論を実際の約1,500種のタンパク質構造に対して適用しました。その結果,特定のネットワークパラメータを用いることで立体構造の分類に成功し,数学的な客観的指標によりタンパク質全体の構造の分類が可能であることが示されました。
これにより,どのような構造がタンパク質として機能するのか,あるいは生物進化の過程でどのような構造がタンパク質として選ばれてきたのか,さらにどのような構造をもたせることによって安定で高機能なタンパク質類似物質や生体分子類似物質を人工的に創成できるのかなど,タンパク質科学における有用な情報を与えると期待されます。
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