【ポイント】
- 北海道中頓別町で白亜紀末のスギ科の新種を発見。
- まつぼっくりの鱗片は厚く、種子の保護に適した構造。
- スギ科が白亜紀末の大量絶滅を生き延びた理由を知るヒントに。
【概要】
北海道大学大学院理学研究院の山田敏弘教授らの研究グループは、北海道枝幸郡中頓別町の白亜紀末(約7,000万年前)の地層から発見されたスギ科の化石を、ナカトンベツコウヨウザンとして新種報告しました。
この化石は、台湾からインドシナ半島にかけて現生するコウヨウザンの祖先にあたります。現生のコウヨウザンは、薄い鱗片が螺旋状に並んだ球果(まつぼっくり)を持ち、その上に三つの種子を付けます。ところが今回発見された化石の球果の鱗片は、先端が厚くなっていました。厚い鱗片は種子の保護に適した構造です。そのため、スギ科を含む現生の針葉樹では、山火事などから種子を守るのに役立つと考えられています。この化石に見られた厚い鱗片は、白亜紀末の隕石衝突による山火事など、環境の激変を生き延びるのに役立ったのかもしれません。
なお、本研究成果は、2024年9月3日(火)公開のPhytotaxa誌に掲載されました。
論文名:A new species of Cunninghamia(Cupressaceae)from the Upper Cretaceous(Maastrichtian)of Hokkaido, Japan(北海道の上部白亜系(マーストリヒチアン階)から産出したコウヨウザン属(スギ科)の新種)
URL:https://doi.org/10.11646/phytotaxa.664.1.1
詳細は理学研究院>研究ニュースをご覧ください。