国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)では小惑星リュウグウ試料分析を、6つのサブチームからなる「はやぶさ2初期分析チーム」および、2つの「Phase-2キュレーション機関」にて進めています。
この度「はやぶさ2初期分析チーム」のうち「石の物質分析チーム」の研究成果をまとめた論文が、アメリカの科学誌「Science」に2022年9月23日付(日本時間)で掲載されましたのでお知らせします。
【概要】
東北大学理学研究科中村智樹教授らの研究グループは、小惑星探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウのサンプル(探査機が回収した3番目に大きなサンプル(図1)を含む17粒子)を日米欧の放射光施設5か所、ミュオン施設などを利用し宇宙化学的・物理学的手法による解析を行った。その結果、リュウグウの形成から衝突破壊までの歴史(太陽系内での形成とその位置、天体材料物質の情報、含まれていた氷の種類、天体表層および内部での水との反応による化学進化、天体衝突の影響など)が判明した。また、リュウグウサンプルには、衝突破壊前の母天体の表層付近の物質と天体内部の物質が混在していることが判明した。さらに、リュウグウサンプルの硬さ、熱の伝わり方、比熱、密度などを実測し、この実測値を使って、リュウグウ母天体形成後の天体内部の加熱による温度変化、および衝突破壊プロセスの数値シミュレーションを行い、リュウグウの形成進化をコンピュータ上で再現した。
【論文情報】
タイトル: 炭素質小惑星リュウグウの形成と進化:リターンサンプルから得た証拠
原題: Formation and evolution of carbonaceous asteroid Ryugu: Direct evidence from returned samples
掲載誌: Science
DOI: 10.1126/science.abn8671
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